メル・ロハス・ジュニア外野手(30)は外に逃げる系の球、落ちる系の球で打ち取られる場面が目立ちました。早く1本ほしい、打ちたい打ちたいの気持ちが出過ぎたように思います。でもまだ1軍デビューしたばかり。2軍では本塁打も打ったけど、直近は3試合連続ノーヒットで、来日後の疲れが出た時期での昇格だったかもしれません。ライトの守備も、危なっかしい打球の追い方でした。いずれにしても日本野球への慣れは必要で、1試合では実力を判断できないでしょう。

本当は1カ月ぐらい、長い目で見てあげたいところです。でも首位を走っているとはいえ、チームにそんな余裕はないように思います。先発投手に疲れが出始めているので、打線が奮起してたくさん点を取っていかないといけない。2位巨人も3・5差で追ってきています。その巨人は状態が落ち気味なので、離せる時にできるだけ離しておきたい。この日もロハスで切れる場面が多く、ロハスの慣れを優先させると点を取れるところで取れなくなる。現状では、打線が線でなくなる可能性が高まります。

チーム状態が悪い時なら、我慢しながらスタメンで使っていくでしょう。でも今はマルテもサンズも状態が良いし、大山が抜けても4番佐藤輝が結果を出して、打線が機能しています。良い状態の打線をあえて組み替える必要があるのか。陽川も調子がいいし、糸井も前日ホームランを打ちました。そういう選手を控えに回してまで、ロハスに時間をあげて使っていくのか、ということになります。

もちろん外国人枠の問題も大きく絡んできます。1軍で外国人が1試合同時に出られるのは4人まで。9日はガンケルが先発なので、恐らくロハスがベンチ外でしょう。では週明け以降、どう起用していくのか。1つ言えるのは、ロハスには多くの時間をあげられないだろうということです。もう1人の新外国人、アルカンタラが14日の巨人戦で先発予定と聞きます。その時、誰かを2軍に落とさないといけない。9日のガンケル次第かもしれませんが、候補は限られるでしょう。

ロハスには酷ですが、今のチームはロハスの調子が上がってくるのを待つ必要がない。コロナ禍で来日が4月までずれ込み、日本野球に適応する時間が少なくなったことで、厳しい船出になったように思います。(日刊スポーツ評論家)