大山は「4番サード」で帰ってこい! 25日から始まる交流戦は首位を走る阪神にとってペナントレースを勝ち抜くためのカギとも言える。その戦いを前に広島3連覇監督・緒方孝市氏(日刊スポーツ評論家)による「緊急提言」の後半、大山悠輔内野手(26)の「役割」を中心に語った。【取材・構成=編集委員・高原寿夫】

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交流戦から大山が復帰するようだ。その場合、ポジションはどうなるか。体調、コンディションさえ問題ないなら開幕からの指定席だった「4番三塁」で戻ってくるべきだ。

4番に求められるのは本塁打ではない。「ここは1点が欲しい」というところでなんとかする。安打でなく犠飛でもなんでもいい。そんな打撃が必要だ。その面で佐藤輝に比べ、大山には“経験”がある。ここで言う経験とは「過去にどれだけ失敗してきたか」ということに言い換えられる。大山は経験を重ねてきている。勝負どころで4番に座るのは当然だ。

三塁の守備についても問題ない。佐藤輝が三塁を守れるのも確かだ。しかし、それは今後を見据えて「佐藤輝が三塁を守れることが分かった」というプラス面にとらえた方がいい。

この先、まだチーム内に故障を含め、何があるか分からない。三塁を守って主軸も打てる選手が複数いるというのはとても大きい。佐藤輝は外野もできるし、開幕からの位置に戻ればいいだけ。バリエーションが増えたということだ。

大山を三塁に置くのは別の意味もある。投手が四球を出したり打たれたりでピンチになったとき。捕手やコーチがマウンドに行くがそれには限りがある。そんなとき内野手が近寄って声を掛ける。こういう行為は、見ている側が想像する以上に意味があるのだ。

投手を孤立させてはいけない。「真っすぐでいけ、打たせたれ」「相手は調子悪いぞ、打ち上げるぞ、真ん中いったれ」などと声を掛ける。今の阪神内野陣ではそれが言える選手がいない。新人の佐藤輝や中野拓、マルテにはできない。やれるのは糸原、大山だ。糸原不在なら大山しかいない。その意味でも「4番三塁」だ。キャプテンでもあり、自分のことだけでなく自軍の勝利にあらゆる面で貢献しなくてはいけない。

その上で言いたいのは調子の悪い選手を外すことをちゅうちょしてはいけないということだ。率直に言ってロハスを使う必要があるのかなとは思っていた。交流戦でDH制があるからといって助っ人3人を必ず使う必要はない。

糸井や陽川ら他の選手が良ければそちらを起用すればいい。ロハスに結果が出ていないのに使っていたときは他の選手に“示し”がつくかなと心配していた。十分、チャンスを与えたし、悪ければ外せばいい。

交流戦は短期決戦だ。18試合あるが1つのチームとは3試合だけ。受けに回ってはダメだ。チャンスはそうそう来ない。攻撃ではバント、エンドラン、スクイズと早めに仕掛けていく。誰でも言うことだが、文字通り、積極的に仕掛けていく戦い方が重要だ。