DeNAは延長でどうにか勝ったが、残り11試合で「CSへ向けて絶対に負けられない」という姿勢がベンチに見られなかった。2、5、6、8回と先頭打者が出塁しながら、得点に至ったのはバントで送った6回だけ。三振、ライナー併殺、三振と走者を進める打撃ができていない。これが残り100試合あるという時点なら、打ち勝つことを目指す戦術も理解できるが、1つも落とせないという時期だ。何が何でも1点を取りにいくべきだろう。
守備も同様だ。2回無死一塁、投手ゴロを捕った大貫が二塁へ悪送球した。ミスは誰にでもあるが、中堅手関根のカバリングが遅かった。このため打者走者の佐藤輝にも二塁へ進まれた。この場面はたまたま失点しなかったが、こうしたプレーを見過ごしてはいけない。7回無死一塁では、二塁ゴロで併殺確実というトスを遊撃手のルーキー林が捕り損ねた。そらしたボールが転々とする間に、一塁走者は三塁へ進んだ。ミスを素早くカバーする姿勢がほしかった。
先発の大貫は、調子が良いようには見えなかったが、丁寧に低めへボールを集めていた。中盤から増やしたフォークボールに、阪神打線はまるでタイミングが合っていなかった。6回まで内野安打1本だけの無失点投球。ちょうど100球になったが、代える必要は感じなかった。ところが、打席が回っているわけでもないのに交代。相手にはとっては願ってもない継投だっただろう。中5日とはいえ大貫が140球投げていたなら理解できるが、流れを渡してしまいかねない交代は不思議だった。
繰り返すが、残りはもう10試合となった。くしくもセ・リーグは3試合とも延長戦になったが、トーナメント戦のように戦う時期だ。阪神は優勝を決めており、近本、木浪、坂本らをスタメンから外していた。DeNAにとっては勝たせてもらった試合。攻撃では1点を奪う、守備では1点を守る。ベンチも選手も全員がこうした意識をより強く持たなければ、2年連続のCS進出はおぼつかない。(日刊スポーツ評論家)