オリックスが3年連続の日本シリーズ進出に王手をかけた。アドバンテージ1勝を含めて3勝1敗とした。第4戦以降、引き分けでも突破が決まる。先発東晃平投手(23)が5回無失点の好投で、リリーフ陣も無失点でつないだ。日刊スポーツ評論家の大石大二郎氏(65)が解説した。

  ◇  ◇  ◇

前夜に逆転負けを喫した中で、オリックスは先発東がどういう投球を見せるのかに注目していた。立ち上がりは、力みがあったのか、真っすぐが抜けて、コントロールできるボールが少なかった。東はカットボール、スライダー、チェンジアップ、シュート、カーブと球種が多いタイプ。2回からカーブを使い、うまく緩急を使いながら、立て直した。

それでもベンチは5回無失点でスパッと代えた。1、2戦目は先発を引っ張り、失点したが、やはり後ろにいい投手がいるということだ。東も必ず0点で抑えるかといえば、そんなことはない。リリーフにバトンタッチすれば、抑える確率が高いという判断のもとの継投だ。

7回には、第2戦の9回に決勝点を許した山岡を投入したが、これは悪いイメージを払拭するために投げさせたのではないと思う。抑えられるというベンチの計算と信頼のもとの起用だ。オリックスにとっては、引き分けでも勝ちに等しい。ロッテはブルペンデーといえども、ショートイニングなら抑えられる投手はそろっている。そういう意味でも、点を与えない野球が勝利に結びついた。

8回の攻撃では、先頭の杉本が二塁打で出塁した後、バントで送らなかった。紅林は右打ちがうまい。続くゴンザレスが3三振を喫していただけに、うまくいけばヒットを打ってくれないかなというニュアンスもあったと思う。しかし右打ちはライナーになるなど凡退する可能性もある。もちろん、バントを失敗することもあるが、バントで三塁に進めるほうが確率は高い。送って、ゴンザレスに代打頓宮という策もありだったのではないか。紅林、ゴンザレスが凡退した後、それを救ったのは若月だった。

仮に2勝2敗になっていれば、ロッテはさらにノッていただろう。第4戦先発の宮城、種市はシーズンの対戦防御率がともにいい。どちらに転ぶか分からないゲーム展開になる可能性があった。それを考慮すれば、オリックスにとっては、大きな1勝になった。(日刊スポーツ評論家)

オリックス対ロッテ 5回裏を終え、選手の交代を告げる中嶋監督(撮影・狩俣裕三)
オリックス対ロッテ 5回裏を終え、選手の交代を告げる中嶋監督(撮影・狩俣裕三)