阪神が88年以来36年ぶりとなる開幕2戦連続完封負けを食らった。日刊スポーツ評論家の岩田稔氏(40)は昨季12球団最多の四球数を奪った古巣の打線について「今季は四球を取りづらくなる」と予想。ライバル球団が対策を進めているとした上で「相手バッテリーの配球の変化を逆手に取る必要がある」と力説した。【聞き手=佐井陽介】

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阪神打線は今季、なかなか簡単には四球を取りづらくなるでしょうね。開幕から2戦連続完封負け。この2試合で奪った四球は計4個です。昨季は巨人戦25試合で計83奪四球。単純計算で1試合平均3・32四球を選んでいたことを考えれば、まだたった2試合とはいえ、やや少なく感じます。ただ、この傾向は致し方ない変化でもあります。

昨季はレギュラーシーズン143試合で12球団最多の494四球を奪い、リーグ優勝から日本一にまで上り詰めました。「奪四球力」が得点力をアップさせた事実はすでにライバル球団も痛いほど把握しているはずです。そうなると、今度は相手バッテリーもどんどんストライクゾーン内で勝負してくるもの。昨季より奪四球数が減る可能性が高い今季、阪神打線は相手バッテリーの配球の変化を逆手に取る必要があります。

ストライクをどんどん取りに来られれば、ボールが甘く入る確率は当然アップします。この失投をどれだけ1球で仕留められるか。それが阪神打線のポイントの1つになってくるわけです。ただ、現状は多くの打者にまだ硬さや焦りを感じるのも事実。岡田監督はそんな状況だからこそ、0-0の4回1死一、三塁で7番坂本選手にセフティースクイズを指示して、まずは1点を取ることで少し重苦しい空気を変えにかかったのではないでしょうか。

この日は結局セフティースクイズも失敗に終わって完封負け。とはいえ、個人的にはそこまで心配していません。開幕3戦目は序盤に1点目を奪えば、各選手の硬さも徐々にほぐれてくるはずです。たとえ単打でも甘い球をコツコツ一振りで仕留め続ければ、相手バッテリーも簡単にストライクを投げ込めなくなり、次第に四球数も増えてくると予想します。通常モードの得点パターンを取り戻せば、簡単に完封負けするチームではありません。

下半身に張りを抱えていると報道されている4番大山選手にしても、この日は今季初安打が飛び出して一塁守備で好守する場面もありました。痛みを抱えていても、四球を取れて1発も打てる選手。相手バッテリーからすれば、たとえ手負いの状態でも「出られたら嫌な打者」に違いありません。だからこそ、阪神打線には開幕3戦目以降もどっしり腰を据えて戦ってほしいものです。(日刊スポーツ評論家)