阪神伊原は1-0の6回2死一塁から連続四球で塁を埋め、降板した。勝利投手の権利を持っていたが、代わった桐敷が押し出し死球と2点タイムリーで逆転され、反対に負け投手になるところだった。味方打線が再逆転し、負けも消えたが、本人にとって悔やまれる降板の仕方となった。もっとも、内容自体は非常に良かった。散発3安打で、初回、2回はどちらも2死走者なしから。後続を難なく抑え、危なげなかった。

一番の特長はコントロールだろう。この日もストライク先行で、6回2死から与えるまで四球はなし。その6回の2四球も、いずれも投げた瞬間にボールと分かる球ではなかった。いわば「惜しい」という球。走者が出ればクイックができるし、しっかりけん制も入れられる。テンポもいい。小さなテイクバックでスライダー、カット、フォークといった変化球を投げ分け、真っすぐで左打者の内も突ける。捕手の坂本が引き出している面もあるが、新人ながら投手に必要な要素を備えている。

そんな投手でも、四球から勝ちを逃した。反省点は、6回2死一塁で小園に対し3ボールにしてしまったことだ。長打を警戒したのだろうし、また球数が100に近づき、スタミナ面で乱れが出たのかもしれない。続くファビアンは2球で追い込みながらファウルで粘られ、最後に歩かせた。やはり先発投手はイニング途中で代わるようだと、なかなか勝ちはついてこない。反対に、広島の森は6回まで投げきって降板。だから、6回の逆転で一時は勝ち投手の権利を手にした。

伊原の今後の課題は、球数やイニングを増やしていくことだろう。4月後半からローテを守り、この日が12度目の先発だった。全て5回以上投げているのは立派。103球はプロ入り後最多となったが、首脳陣も徐々に増やしていくことを考えていると思う。今後、勝負の怖さも知るだろうし、シーズンの疲れもたまっていくだろう。そこで自分のボールをいかに磨けるか。さらにいい投球ができる力は持っている。結果でベンチの信頼を勝ち取っていって欲しい。

敗れた広島は、ミスが痛かった。逆転を許した7回、先頭への四球は投手のミスだし、続く前川の一塁内野安打は事実上、モンテロのエラーだった。阪神打線は1度、火がつくと止まらなくなるのに、自ら火をつけてしまった。独走を止める1番手が、このような野球では厳しい。まだまだ試合は残っている。もう1度、引き締めて欲しい。(日刊スポーツ評論家)

広島対阪神 6回裏広島2死満塁、同点とベンチで帽子をかぶりなおす阪神伊原(撮影・藤尾明華)
広島対阪神 6回裏広島2死満塁、同点とベンチで帽子をかぶりなおす阪神伊原(撮影・藤尾明華)