首位を走るヤクルトを相手に、断然最下位に低迷する中日が村松の逆転3ランでサヨナラ勝ちした。ただ、この劇的な勝利で中日が息を吹き返し、今後の追い上げにつながるか? と聞かれれば「う~ん」と言葉につまってしまうのが現状だろう。

負けはしたが、開幕前の低評価を覆して首位を走るヤクルトと、評価が高かったにもかかわらず最下位に沈む中日との違いはなにか? 2番打者にサンタナを固定して起用するヤクルトと、固定できない中日との差だと思っている。

今試合でもサンタナが一時は勝ち越しになるソロを放ち、中日の2番でスタメン出場した板山は3打数無安打。特に板山は3回2死二塁でキャッチャーフライに倒れ、6回無死三塁でもショートフライ。絶好のチャンスで結果を出せなかった。

近年、打席が多く回ってくる1番か2番に長打力のある打者を起用する流れが主流になりつつある。ヤクルトは実力と実績で文句なしのサンタナが不動の2番打者。お世辞にも走力があるとは言えないし、守備固めも必要な選手で、これまでの日本球界の常識を覆すタイプの2番打者といっていい。

一方の中日は田中の2番起用がメインだったが、ここにきて日替わりの起用になっている。一番いい打者を2番に起用するという考えが絶対だと断言しているわけではない。しかし現代の野球とは逆行していると言わざるを得ない。

1番に起用している大島と3番の高橋周が好調で、4番の細川も絶好調ではないが実力と実績からいえばチームNO・1。この流れで2番が“谷間”になるのは痛い。固定はできなくとも、3番から5番のボスラーまでの打順をひとつ繰り上げて打線を組んだ方がいい。

井上監督は2番は“つなぎ役”という考えに固執しているのではないか。ケース・バイ・ケースで送りバントが消極策とは言わないが、強攻策の方が得点力が上がるという統計は出ている。しかし今試合前までの中日の犠打数は14で3位(以下、順位はすべて12球団で)。チーム打率は2割5分2厘で3位だが、得点は61で11位。理由は2番打者が固定できないということだけではないが、大きな要因のひとつに挙げてもいいだろう。

ヤクルトの犠打数はわずか2個で一番少ない。サンタナを2番に起用している池山監督の「打ち勝つ野球」にマッチしている。分かりやすい監督の方針がチームに浸透し、勢いを加速させている。今試合に限らず、バッティングカウントで積極的にバットを振っている。

ヤクルトは3連投になる守護神のキハダを温存して1点リードの9回に逆転負けした。ヤクルトにとっては今後の疲労を考慮した仕方のない敗戦だったのかもしれない。しかし劇的な逆転サヨナラ勝ちで中日に勢いがつく可能性はある。2番打者の起用を改善させ、今後の反撃態勢を整えてみたらどうだろうか?(日刊スポーツ評論家)

中日対ヤクルト 試合終了、井上一樹監督(右)はサヨナラ勝利し、ファンにあいさつする(撮影・森本幸一)
中日対ヤクルト 試合終了、井上一樹監督(右)はサヨナラ勝利し、ファンにあいさつする(撮影・森本幸一)