2つの数式がある。「25÷59」=0・42…(約42%)。「101÷465」=0・21…(約21%)。これは「三振÷打席」を当てはめ、三振率を計算したものだ。今季新人王の候補である楽天田中のデータ。1年目は約42%の三振率だったが、2年目の今季は半分以上も減っている。

打率も昨季の1割1分1厘から、2割6分5厘にまで上げた。何より1割5分8厘だった出塁率が、3割2分3厘にまで伸びた。「いや~、たまたまです。本当に、何でなんですかね」と、とぼけてみせるが、そこには、ある人の言葉が支えとなっていた。

1年目は51試合で、6安打、1本塁打。このままでは駄目だと悩んでいた。そんな時だった。岸と会話するタイミングがあった。「どうしたら、いいと思いますか?」の問いに「三振しなければいい」と先輩から言われた。

普通の人なら思うかもしれない。言葉では分かっていても…。なかなか、実践することは…。それでも、田中はその言葉を胸に刻み、体現してみせた。今季105試合で、本塁打は「18」にアップ。初の侍にも選出された。「ボールを良く見るようになったし、無駄なスイングが減った気がする」。当たり前のことを、当たり前に、やってみせる-。プロフェッショナルな2人の会話だった。【楽天担当 栗田尚樹】