楽天島内宏明外野手(29)のつぶやきをきっかけに調べてみた。「僕が一番、打ってないんじゃないですかね」。明大から11年ドラフト6位で入団した島内のように、東京6大学から直接楽天に入った野手はこれまで6人いる。大学4年間の安打数は自分が最も少ない、という見立てだった。


西谷尚徳(04年4巡目、明大) 74試合、79安打、3本塁打、打率3割4厘

島内宏明(11年6位、明大) 35試合、40安打、2本塁打、打率3割7分

茂木栄五郎(15年3位、早大) 79試合、85安打、10本塁打、打率3割7分

田中和基(16年3位、立大) 59試合、50安打、9本塁打、打率2割7分

岩見雅紀(17年2位、慶大) 61試合、52安打、21本塁打、打率2割9分2厘

渡辺佳明(18年6位、明大) 90試合、95安打、打率3割1分4厘


言った通りだった。出場試合数からして少ない。実は“サボり癖”があったことを恥ずかしそうに告白する。「風邪をひいて、2、3カ月練習を休んだこともありましたね」。それでもロングティーでは誰よりも飛ばしてみせるなど素質はピカイチだった。「もっと練習しろ」。松岡寮長や善波監督が根気強くハッパを掛けてくれたから、今がある。

レギュラー定着は3年秋と遅かった。直後のドラフトで広島に1位指名される早大の剛腕、福井から大学初安打を放った。「あの1本がなかったら、僕はプロにいけてなかったかもしれないです」。今季からはチームメートになるという数奇な巡り合わせが、記憶を呼び起こす。確かな手応えをつかみ、3シーズンで40本を積み重ねて最高峰の舞台へ飛び込んだ。

17年には全143試合に出場、昨季は規定打席到達シーズンでは自己最高となる打率2割9分2厘をマークした。在籍年数の長さもあるとはいえ、プロ通算525安打は6人の中で最も多いから面白い。「僕が一番、ポンコツなんです。でも、ポンコツの割には頑張ってますね」。今季も左翼のレギュラーとして期待される29歳には、不思議な魅力がある。【楽天担当 亀山泰宏】