「野球は投手」と言われる。この日はまさにその言葉通りの試合だった。ソフトバンク先発千賀と巨人先発菅野の投げ合い。オープン戦と言えども3・29開幕投手2人のマウンドはさすがのひと言だった。試合成立の5回まで両投手はともにパーフェクト投球。初回、千賀が150キロ超の直球を主体に3人で料理すると、触発されたわけでもなかろうが、2年連続沢村賞右腕の菅野も上林、今宮を連続三振。こちらもきっちり3人で片付け波に乗った。降板まで2人が許したヒットは内野安打3本だけ。エース同士の力投は打撃戦を期待するファンでも手に汗握ったのではなかろうか。

ベンチで見守ったソフトバンク工藤、巨人原の両指揮官も同じ気持ちだったろう。ホークス7回裏の攻撃が終わったのは午後7時50分ごろ。これだけの快投を見せてくれれば「時短」も声高に叫ぶことはないのだが…。公式戦ならこの後の展開にさらにボルテージは上がっていったのだろうが、2人がマウンドから去った8回は両軍が抱える「課題」が露呈した。ホークスは二保から中継ぎ左腕の嘉弥真、川原がピリッとせずこの回4失点。巨人も抑え候補の新外国人クックが松田宣に2ランを被弾するなど3失点…。光明が大きければ、影も暗さを増した。

ホークスにとって嘉弥真は投手編成のカギを握る。貴重な中継ぎサウスポーに不安が残れば、モイネロをブルペンに加えなければならない。だが、4人の外国人枠を考えると何度、指を折っても明快な答えは導き出しにくい。この日、最後を締めたのは昨年のセーブ王、森だった。オープン戦3試合目の登板で無失点投球。安定した投げっぷりは「抑え」としてまったく問題ない。サファテに無理させることなく、まずはストッパーを森に託したらどうだろうか。開幕が近づくにつれ、その思いは強くなるのだが…。【ソフトバンク担当 佐竹英治】