<巨人2-3阪神>◇27日◇東京ドーム

東京ドームで懐かしい人に会った。ロッテ一筋の山下徳人編成部調査担当(53)。メモを取りながら熱心に試合を見つめる。一般的にはあまりなじみがない肩書だが、他球団の選手の能力や動向などを調査し、トレードやFA戦略などに生かしていく重要な仕事である。

10数年前。東海地区のアマチュア野球を担当していた時に、山下さんはロッテの同地区担当スカウトだった。この時期なんかは球場へ取材に行けば毎日のように顔を合わせた。その山下さんが「やっぱり気になるんですよね」と笑った。トレードでロッテから阪神に加入した高野だ。

山下さんはスカウトから2軍打撃コーチを経て16年に2軍監督に就任。ルーキーだった高野の能力を高く評価し、2軍でもストッパーとして起用した。今回のトレードでは、大事に育てた選手を送り出す立場になったというわけだ。

この試合で高野はタテジマデビューを果たした。同点の10回裏に登板。ピンチを招きながらも無失点でバトンをつなぎ逆転勝ちに貢献した。山下さんはうれしそうに話した。「ビックリしました。ありがたいですよね。あんな場面で使っていただいて。高野には頑張れって言っておいてください」。プロの世界で出会いと別れは常だが、1度交わった縁が切れることはない。【阪神担当 桝井聡】