紅白戦が終わって、室内練習場に足を運んでいたソフトバンク工藤監督とばったり出くわした。コロナ禍の影響で取材規制もあり、気軽に話しかけることはできない。あいさつするとマスク姿の日焼けした顔に笑みを浮かべた。「日が傾くとちょっと寒くなるけどね。でも明日も暖かいらしいから。紅白戦日和です」。背番号81は両手を大きく横に広げて「セーフ」と言いながら軽い足取りでメイン球場に戻って行った。妙に明るいな、と思っていたら練習後の会見で石川の開幕投手指名を公表していた。

日本シリーズ5連覇へ向けた長期ロードのスターターを8年目右腕に託した。千賀に続いて工藤政権2人目の育成選手出身が晴れ舞台のマウンドに上がることになった。最右翼だった千賀がリハビリ調整中ということもあるが、石川には新たな飛躍に向けて「3・26開幕」での好投を見せてもらいたいものだ。

紅白戦でナックルカーブを投げる和田(撮影・岩下翔太)
紅白戦でナックルカーブを投げる和田(撮影・岩下翔太)

さて、今キャンプ2度目の紅白戦。ベテラン和田が先発し2回2安打の無失点投球。三森、松田からは三振を奪うなど21日で40歳になる左腕が健在をアピール。打撃向上が1つのテーマだったが、柳町、佐藤直の2年生コンビもともにマルチ安打で気を吐いた。

キャンプイン直後にリハビリ組となった今宮もこの日、B組のシート打撃で高橋純の直球を中越えの三塁打。昨年8月に出場選手登録抹消されて以来の「実戦」だったこともあり「6カ月ぶりに野球ができた感じ。楽しかったし、うれしかった」と笑顔が戻った。福岡からのオープン戦から1軍合流予定に問題はなさそう。「あとはしっかりと続けることです」と、宿舎に戻るバスに乗り込んで行った。

王球団会長(左)と練習を見つめる工藤監督(撮影・岩下翔太)
王球団会長(左)と練習を見つめる工藤監督(撮影・岩下翔太)

グラウンドには王球団会長も戻った。早朝便で東京から宮崎入り。そのまま球場に駆けつけた。前日18日は東京五輪・パラリンピック組織委員会の理事会に出席。多忙な王会長だが、グラウンドではさっそく大砲候補のリチャードに声を掛けていた。若手の台頭が待ち遠しいが、分厚い選手層を突き抜けるには厳しいハードルが待ち構えている。「開幕1軍」を合言葉に首脳陣が頭を抱えるようなハイレベルな争いを展開してもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】