山賊打線は開幕から和製ラインアップが並んだ。西武の外国人選手の開幕1軍は、中継ぎ右腕のギャレットのみ。コロナ禍の影響で、野手は1人も来日できなかった。そう遠くない時期に合流できると思われるが、隔離期間や実戦感覚などを考慮すれば、序盤は引き続き計算はできない。打線はもちろん先発ローテーションも日本人選手だけの戦いが、しばらくは続くことになるだろう。

ただ「外国人選手の不在=戦力ダウン」という図式が、すべてではない。空いたポジションは、若手にとってこれ以上ないチャンス。春季キャンプから辻発彦監督(62)は「いないと思って準備する。いろんなことを考えるとすべての選手がチャンス。強力になってきたと思うし、強化しないといけない」と覚悟の上で、若手の台頭を促し成長の場を与えてきた。

開幕戦では西川愛也外野手を先発起用。さらに鈴木将平外野手、ルーキーの若林楽人外野手、ブランドン内野手も先発に抜てきした。投手陣では、2年目の上間永遠投手が4月8日楽天戦で先発登板することが濃厚となっている。もし、スパンジェンバーグが合流すれば三塁か左翼に入るし、ニールがいれば先発ローテ枠に1枚加わる。選手層の厚みは格段に増すが、レギュラー当確ラインの若手にとって「今がチャンス」であることは間違いない。

30日の日本ハム戦では、ブランドンが抜てきに応えて初安打初本塁打含む4打点で大暴れ。その裏では辻監督が「もう1つ思い切りがなかったんで、チャンスがきたらエンドラン出してみようと思っていた」とベンチワークで、ルーキーのストロングポイントを引き出した。勝負と育成を同時に進めることは、決して簡単なことではない。でも勝ちながら育っていった先に「優勝」の2文字がグッと近づいてくる。【西武担当=栗田成芳】