ウエービーな髪を、全部を、そっちゃった…。人生初のパーマをあて、長髪をなびかせていたオリックス宮城大弥投手(19)が、見事に頭を丸めた。

11日広島戦(京セラドーム大阪)の試合前練習だった。背番号13と書いた自分の練習用バッグを背負い、かわいいマイメロディのチームリュックをいつものようにおなかの前にセッティングして歩く19歳左腕には“違和感”があった。そっと帽子を脱ぐと、なんと髪がなくなっている…! 

宮城は「後輩にそってもらったんですが、間違ってしまって…。9ミリにするつもりが、アタッチメントを付け忘れて0・5ミリになりました」と明かした。

間違って、五厘刈りに…? その真相を知るべく、バリカンを握った“後輩”のドラフト5位の中川拓真捕手(18=豊橋中央)を直撃してみた。

「はい。宮城さんは最初、本当に9ミリでと考えておられました。僕も、1度は9ミリで完成したと思ったんですが…」

後輩の心遣いが、ある意味で蛇足となったのかもしれない。

「その後、周りのうぶ毛をアタッチメントなしの0・5ミリでそって整えていたんです。それで最後にもう1度、9ミリのアタッチメントをつけて、キレイに整えようとしたら…。アタッチメントが半分、外れていて…」

その時「ん、えっ~!?」というものすごい声が、大阪・舞洲の球団寮の風呂場から響き渡ったという。

「そうなんです…。後頭部の真ん中のラインから(0・5ミリで)ガリっと刈ってしまって、真ん中だけ五厘刈りになっちゃって…。宮城さんは、ぼうぜんとされてました」

その直後。19歳の先輩左腕は18歳の後輩捕手に懐の深さを見せた。「2人で顔を見て笑って『おい、何しとーん!?』って。僕は『すみませーん!』と。それで、『こうなったら全部をそらないとおかしいよね』となって、また0・5ミリでそり直したんです」。

実は、本来の“担当美容師”が不在で中川拓は代役だった。「いつもは前佑囲斗さんが、宮城さんの髪の毛を整えているんですけど、そのタイミングで偶然、寮にいたのが僕で。そこで頼まれたんです」。代役に依頼したことで「ガリっと事件」へ発展したのだという。

そんな後輩のミスも、笑って許してくれるのが、球宴の先発投手部門で得票数トップを走る“宮城くん”。中川拓は「宮城さん、(先発で)投げるのが火曜日が多かったんです。そこで前日の月曜日のオフに、舞洲で僕がブルペンに入って受けさせてもらっていたんです。練習が終わると『今日もありがとうな!』と言ってジュースを買ってくれます」。

なんとキュートで心温まる話なのだろう。そんな宮城はここまで10試合に先発して6勝1敗、防御率2・31と抜群の成績を残している。2人はまだ試合でバッテリーを組んだことはなく、中川拓にとって週1回、ブルペンで18・44メートルの距離を挟んだ会話は貴重な時間となっている。「ブルペンで1軍レベルのボールを受けさせてもらえるのが、すごく勉強になります。変化球の切れと真っすぐの強さ。高校で見たことない、本当に異次元です。これが1軍選手なんだなと。今は慣れてきましたけど、最初は受けるのは怖かったです」。

寮生活でも面倒見の良い19歳宮城。「日用品を買いにいくタイミングとかも『一緒に行くぞ』と連れていってくれる優しい先輩です。いつかは1軍で一緒にバッテリーを組みたいです」 ウエービーパーマの宮城も、夏仕様のニュースタイル宮城も“カミ”対応なのである。【オリックス担当=真柴健】