グラウンドキーパーたちに歩み寄ると「いよいよだね。よろしく」と言って右手を挙げて軽く会釈した。待ちに待った3・25開幕を翌日に控えた24日、外野でアップに汗を流すチームを見やりながら、ソフトバンク王球団会長は裏方さんへの気配りを忘れなかった。

野村勇を指導する王球団会長(撮影・屋方直哉)
野村勇を指導する王球団会長(撮影・屋方直哉)

誰よりも待ち焦がれた。打撃練習が始まるとバットを片手に新人野村勇、リチャードにアドバイスを送り続けた。王者に君臨して迎える開幕ではない。Bクラスから雪辱を期すシーズン。さらに「世代交代」というチーム変革の大命題もある。球団会長という役員職に加え今季は「特別チームアドバイザー」の肩書までプラスして立て直しに乗り出した。今季にかける思いは誰よりも強い。

藤本VS新庄の新監督対決。ともに「再建」を目指すチーム同士でもある。それぞれにアプローチ法は違っても、目指す「頂点」は同じ。22年開幕カードはそんな視点で眺めても面白い。

リチャードを指導する王球団会長(撮影・屋方直哉)
リチャードを指導する王球団会長(撮影・屋方直哉)

「(日本ハムは)新庄監督の効果で若い人たちも出てきていますしね。相手がどうだとかじゃなくて、ホークスの野球をやる、ということでね。ホークスの野球をやるんだ、ということだけでいいんじゃないかな。新庄くんはいろんな意味で刺激を与えてくれて。野球界にも新しい波が起きていますからね。彼がプロ野球に来てくれたことはプロ野球自体にとってもプラスと思っています」

王会長はチームの勝利を願いつつもBIGBOSSが球界に新風を巻き起こすことにも大きな期待を寄せている。

キャンプ前日、王会長は選手たちに自らの考えをまとめたA4サイズ5枚の「王の教え」を配った。最終項に記した言葉だ。

「ヒーローになるために打席に立つのだ。試合を決めるのだ。決着をつける打者になるのだ。(中略)自分にしか決められないのだ」。BIGBOSSも共鳴する言葉ではないか。プレーボールが待ち遠しい。【ソフトバンク担当 佐竹英治】