調子の上がらない選手をどうするか。先発で起用し続けるか、逆に外すか。さまざまな方法がある。楽天石井一久GM兼監督(48)は「他のチームはどういう根拠でみなさんやっているのか分からないけど」と前置きをした上で、自身の考えを明かした。

「調子が悪かったら休ませろとか、いろいろ打線を変えろとかということは、野球の定番じゃないけど、(定番)化している。そこはあんまり関係ないかな。ずっと出ている選手はずっと出ている中で調子を上げていくもの。1年間戦う選手というのは、良くても悪くても戦い続けないといけないので、逆に調子が狂っちゃうんじゃないかな」

どの選手にも好不調はある。プロの世界で何年も戦ってきた選手たちは、その乗り越え方も知っている。実績がある選手に対しては、信頼してグラウンドに送り続けている。指揮官が例として挙げたのは昨年の鈴木大。7月の打率が2割4分0厘と落ち込んだ。それでも先発起用を続け、8月は打率3割2分7厘と復調した。石井GM兼監督は「あれで休ませたらあのままになっちゃうとは思います。戦い続けるというのは大事かな」と話す。

チームは貯金11、首位で交流戦へ突入する。だが、直近3試合で1得点しか挙げられず、3連敗中。球団最長の11連勝後は2勝9敗と足踏みが続く。序盤好調だった西川や浅村がブレーキ。21日オリックス戦では、前日から「4番島内」以外すべての打順を入れ替え、テコ入れを図った。

その意図も後日説明した。

「リフレッシュ。なんて言うんですかね。悪くなったら打順をいじるとかあまり好きじゃない。少し景色を変えてまた戻ってやりましょうということで替えたかな。景色を替えてもう1度という、リスタートじゃないですけど」

交流戦に入ることで、チームの流れも一気に変わる可能性もある。ドンと構えながらも、時には刺激を促す采配。主力選手たちの修正力を信頼し、起用を続けたい一方で、結果を残し、猛アピールする若手選手に出場機会を与えたい気持ちもある。さまざまなバランスをうまく見極めながら、日々采配をしている。

今年から楽天担当になった。プロ野球記者としても、まだ2年目だ。指揮官の考えを直接聞き、日々勉強させてもらっている。時には浅はかな質問をしてしまうこともあるが、嫌な顔一つせずに丁寧に答えていただいている。たくさんの思いや考えがあって先発メンバーが決まっている。この起用はどういう意図があるのか-。試合前に自分なりに考えてみるのが、最近のルーティンとなっている。【楽天担当=湯本勝大】