今年で31歳となる阪神岩貞祐太投手が、確かな進化を遂げている。5月19日ヤクルト戦(神宮)。7回から登板した左腕は、先頭長岡への5球目、外角低めに昨季までの自己最速を3キロも更新する153キロ直球を投じた。「オフにだいぶ筋トレしたので、MAXを更新できたのは間違いなくその成果が表れているのかなと思います」と手応え十分。理由はシンプルだった。

オフには母校必由館(ひつゆうかん、熊本)の先輩で、ソフトバンクなどで活躍した九州アジアリーグ火の国の馬原孝浩監督兼GM補佐(40)に弟子入り。「今まであんまりやってこなかった」という中継ぎに必要な瞬発系のウエートトレーニングに取り組んだ。シーズン中もベンチプレスやスクワットなどを軸に、上半身と下半身を1回ずつ、週2回の筋トレを継続中。4月には「ちょっと軽すぎた」と筋トレに加え食トレにも励み、81キロ前後だった体重を84キロまで増量。球速アップにつなげた。

今季は開幕直前の左太もも裏の張りで出遅れていたが、4月9日に1軍復帰。常時150キロ前後の球速を計測する直球とスライダーを武器に、21試合に登板して2ホールドで防御率は1.65。11日オリックス戦(京セラドーム大阪)では9回2死から登板し、1回1/3を無失点に封じ、9年連続の勝ち星となる今季初勝利を手にした。現在は勝ちパターンの1人として、ブルペン陣を引っ張っている。

岩貞は「練習すればそれだけ、スピードが出るんだなということが分かった」と胸を張りつつ、「スピードが全てではない。コントロールが9割だと思うので」と満足することはない。中堅となった今でも、チャレンジ精神は旺盛だ。進化を続ける左腕から目が離せない。【阪神担当=古財稜明】