ロッテに頼もしい助っ人が加わった。背番号10をつける宇都宮幹汰選手だ。背は小さいものの、その愛らしさに仲間たちの表情が和らぐ。入団会見で、井口資仁監督(47)が「オスナに続く新たな助っ人、かんた君です」と紹介しただけのことはある。

10歳だから、空き番号から背番号10を選んだ。ロッテは特定非営利活動法人Being ALIVE Japanが運営する「TEAMMATES」事業に参画。定期的なチーム活動の参加を通し、社会参加の促進と自立支援を目的とした支援を行っている事業だ。そのチームメイツとして、幹汰君が1年間、マリーンズの一員になる。

年間で何日か、マリーンズのユニホームを着る。入団から数日がたった25日、さっそくZOZOマリンを訪れた。試合前練習で、井口監督に連れられて選手やコーチたちへのあいさつに回った。センターバックスクリーン前では、投手陣が練習中。ロメロ、ゲレーロ、オスナの助っ人投手トリオも幹汰君にメロメロ。彼の直前に入団したオスナは、幹汰君と目線を合わせてグータッチをした。

その後、井口監督とともに佐々木朗希投手(20)のところへも。打撃練習の守備役をしていた佐々木朗は2人に気付くと、笑顔で歩み寄って握手。オスナ同様、幹汰君と視線を合わせるためにしゃがみこんで、笑顔で話すシーンもあった。

急性リンパ性白血病で長期療養中の幹汰君は、すでに行われた入団会見で「選手のみんなと仲良くなって、自分が頑張って応援することで、選手の皆さんにやる気や元気を与えられるようなTEAMMATESになりたいです」と意気込んでいた。

勝ったり負けたりで進んでいくペナントレース。選手たちも決して、ストレスと無縁ではない。不安に襲われることもある。そんな時に「応援されている」という事実は、大きい。特にコロナ禍の昨今。ファンはアスリートたちの物理的な間近にいることができない。「頑張ってください」。ファンがその一言を選手に伝えることさえ難しい。

まずは初日だったが、プロ野球選手たちが幹汰君に見せた表情は、優しさと愛にあふれていた。かんた君への思いを力に-。疲れもたまるペナントレースの折り返し地点に、仲間に活力を届ける新戦力がやって来た。【ロッテ担当 金子真仁】