<西武2-3ソフトバンク>◇2日◇ベルーナドーム

ソフトバンクにとっては大きな大きな1勝となったことだろう。先月末から突然のコロナ禍に見舞われ、1軍選手、コーチら計18人が陽性判定。チームを離れることになった。西武3連戦の初戦は中止。チームにとっては6月27日のロッテ戦(東京ドーム)以来、5日ぶりの実戦である。ロッテ戦後は、チーム活動停止もあって選手たちはほとんど練習を行っていない。「戦力」の大幅ダウンは否めない中での試合再開で、意地を見せた。

宿舎のミーティングで藤本監督はナインを集め「明るくいきましょう」と言ったという。そう、降りかかる災禍にも下を向いてはいられない。9回、逆転の2点適時打を放った中村晃は離脱した選手の気持ちを思い、ヒーローインタビューで少し声を詰まらせたようにも聞こえた。苦しい状況だからこそ、何としても白星を手にしたい-。そんな思いが伝わる逆転劇だったように思う。

チームは前日(1日)夕方の便で上京した。早朝にペイペイドームでPCR検査を行い、陰性判明が確認されての移動。さらにこの日も、都内の宿舎で早朝からPCR検査を行った。ナイトゲームとはいえ、連日の早朝起床はコンディション的にも疲労蓄積だったろう。コロナ陽性者が多発し、6月29日のロッテ戦(ペイペイドーム)中止が決定した後、孫オーナーも事態を懸念して西武3連戦のチーム活動停止を望んでいたという。だが、「プロ」は興行が可能ならば、試合優先となる。厳しい環境もバネとした。

ホークスは71試合目で40勝到達。2位楽天とは2・5ゲーム差とした。3日の試合はシーズン折り返しのターンマークの試合となる。逆境をはねのけ、白星をつかみ取った執念の戦いは「後半戦」への大きな自信ともなったのではないだろうか。ピンチはチャンス-。窮地にこそ「チーム力」は問われるのだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】