中日の福留孝介外野手(45)が23日に本拠地での巨人戦で現役最後の試合を終えた。試合後、中日の引退セレモニーでは珍しく大型ビジョンを使って、ゆかりのある人からのビデオメッセージが流れた。

母校PL学園の元監督、中村順司氏(76)、WBCでともに戦った稲葉篤紀氏(50=日本ハムGM)、BC・栃木の川崎宗則内野手(41)。さらに阪神などでチームメートだった藤川球児氏(42=野球評論家)、鳥谷敬氏(41=日刊スポーツ野球評論家)や阪神で現役引退した糸井嘉男外野手(41)ら…。福留だけでなく球場のファンもその言葉に聞き入った。

「球団では(引退セレモニーで)初めてビデオメッセージを作りました。送っていただいたのもありますが、関東まで撮影に行ったりしました」。イベント運営に携わる球団スタッフは、式典が終わった深夜、ホッとした表情をのぞかせていた。「ファンの方々もですが、福留さんの家族にとっていいセレモニーにしたいんです」。音響、映像、照明…多くのスタッフが裏側で動き回って、華やかに送り出す舞台を支えていた。

福留は球場が暗転する中、「自分の野球人生がスタートしたこの場所でファンの皆さまの声援に包まれてユニホームを脱げる。僕は本当に幸せ者です」とあいさつした。

イベントは成功して当たり前。たたえられることは少なく、失敗したときは非難されるのが常。記者が所属したかつての部署で経験した。福留選手、24年間お疲れさまでした。そして、最後の舞台を作った皆さんも、本当にお疲れさまでした。【中日担当 伊東大介】

引退セレモニーであいさつした後、深々と一礼する福留(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーであいさつした後、深々と一礼する福留(撮影・狩俣裕三)