巨人松田宣浩は1日の引退セレモニーで4万人と「熱男」を叫んだ。ナインから胴上げされ、より現役生活への別れの実感が込み上げてきた。セレモニー後、代名詞となった言葉への思いを口にした。

「今日でユニホームを脱ぎますので、野球選手として、熱男っていうのは自分自身できなくなる。自分が守り続けてきたものでもある。来シーズン以降、熱男という言葉が野球界からなくなるっていうことは、やっぱり寂しいなと思いますよね」

18年のプロ生活の花道。もう1つの代名詞である「ケンケン」も健在だった。現役最後の打席となった1日ヤクルト戦の5回先頭の第2打席。5球目、7球目と一塁側へファウルを放つと、右足でケンケンとステップを踏んだ。もともとはキャラ作りの意味も込め、10年頃に始めた動きだった。ただ続けていると、上半身と下半身のバランスを確認できる調子、感覚のバロメーターになることに気が付いた。「あれができるといいスイングができるんだよ」。次打者サークルでも右足ケンケンを重ねた。

9月28日の引退会見。松田は「熱男」という言葉の力に触れた。もともとは15年のソフトバンクのスローガンだった。「もともとは選手会長として熱男を広めたい、ただ、それだけで本塁打の後に叫んでました。でも熱男というパワーはとてつもなくて、出会ってから5メートルくらい飛距離が変わった。本塁打の数も伸びたと思う。自分は熱男との出会いはプロ野球人生の中で大きかったと思います」

エンターテインメントを技術に昇華できる。結果も残す。それが熱男だった。【巨人担当=上田悠太】

引退セレモニーでチームメートたちといっしょに熱男ポーズを決める松田(中央)(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーでチームメートたちといっしょに熱男ポーズを決める松田(中央)(撮影・狩俣裕三)
巨人対ヤクルト 5回裏巨人無死、現役最後の打席でファウルを放ち、おなじみの踊るような動きを見せる松田(撮影・狩俣裕三)
巨人対ヤクルト 5回裏巨人無死、現役最後の打席でファウルを放ち、おなじみの踊るような動きを見せる松田(撮影・狩俣裕三)
巨人対ヤクルト 5回裏巨人無死、ファウルで粘る松田(撮影・滝沢徹郎)
巨人対ヤクルト 5回裏巨人無死、ファウルで粘る松田(撮影・滝沢徹郎)
巨人対ヤクルト 引退セレモニーでチームメートに胴上げされる巨人松田(撮影・狩俣裕三)
巨人対ヤクルト 引退セレモニーでチームメートに胴上げされる巨人松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで原監督(右)と記念撮影をする松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで原監督(右)と記念撮影をする松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで原監督から花束を受け取り、泣きじゃくる松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで原監督から花束を受け取り、泣きじゃくる松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで場内1周をする松田(撮影・狩俣裕三)
引退セレモニーで場内1周をする松田(撮影・狩俣裕三)