巨人船迫大雅投手(27)にはオールドルーキーで入団した覚悟と危機感が原動力にある。

聖光学院-東日本国際大を経て、西濃運輸4年目の26歳だった22年ドラフト5位でプロ入り。オールドルーキーとして、即戦力の看板を背負った。それは見方を変えれば、厳しい現実があることも分かっていた。

「社会人の選手として仕上がっている状態で、即戦力だから取られた。結果を残して、当たり前ということは結果を残さないと、逆に次の年はないなって思っていた。長くないかもしれない命をどれだけ生かせるか。この年で入ってきたので早く自分の立ち位置を確立しないと、首を切られるのが早くなってしまいますから」

危機感が原動力になっていた。1年目の昨季は36試合で3勝1敗、防御率2・70。後半戦は1軍に定着し、ブルペン陣を支えた。

1軍の戦力としての結果を積み重ね、2年目を迎えた。宮崎キャンプに入る前。宮崎・青島神社の絵馬にはペンで「不動心」としたためた。母校・聖光学院のモットーだった。

「自分の初心は聖光学院なんですよね。だから初心を忘れないように。2年目だから浮かれないように結果を残せるように」

中学3年生で身長165センチに満たない体で入学時は一番体が小さかった。特に実績もなかった中で己の可能性を信じ、自己推薦で入学。打撃投手、スコアラーも含めできることは何でもやってアピールした。自分よりも、ずっとレベルの高い周囲に必死にくらいつき、追いつき、最後はエースになった。がむしゃらだった高校時代の感情を忘れないように「不動心」と記した。

今季は50試合以上の登板が目標。昨季の被打率は2割9厘ながら、左打者対策を課題と捉え、シンカー系の新球習得に励む。危機感と初心を日々、思い出しながらプロの世界にくらいついていく。【巨人担当 上田悠太】