指名はあるのか。上位確実と言われる選手がいる一方で、ドキドキしながら17日のドラフト会議当日を迎える選手は多い。

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東京ガス・笹川晃平外野手(25=東洋大)は「今年は呼ばれたい気持ちが強いです」と明かした。ドラフト解禁となった昨年、3拍子そろう大型外野手として鳴らしたが、指名漏れ。ケガに苦しんだ大学時は志望届を出さず、2年後にかけていただけに「プロで活躍すると思ってやってきたのに、それがない。これからどう過ごせばいいのか」と、ぼうぜん自失となった。

切り替えられたのは「まだ1年ある」という周りの励ましのおかげだ。引き出しを増やすべく、この1年は「いかにチームを勝たせるか」を考えた。劣勢展開でも右翼から元気な声が聞こえるのは答えの1つ。「まずはチームのことを。それがいい方向にいけば」。名門JR東日本との延長戦を制し日本選手権出場。フォア・ザ・チームの過程に念願のプロ入りがある。【古川真弥】

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現実は厳しい。立命大・福島滉貴投手(4年=東福岡)はわずかな望みに懸ける。「野球がしたい。その気持ちを現実に出来るように、プロ志望届を出しました」。2年春の関大戦で156キロ。だが、以降は肩肘の負傷に悩まされ、同年秋の近大戦を最後に約2年間マウンドから遠ざかった。

9月21日の関学大戦、3-1の9回から復活登板を果たした。先頭打者を1球で仕留めたが次打者へ四球、さらに3ボールと乱れて降板。「ふがいなかった」と苦笑いも「投げられることは、こんなにうれしいんだという気持ちです」。わずか12球。野球ができる喜びをかみしめるには十分だった。直近の練習試合でも146キロをマーク。剛腕の素質を失ってはいない。

高校生だった4年前。福岡市内のお好み焼き屋で今秋ドラフト候補で現チームメートの坂本裕哉投手(4年=福岡大大濠)と「一緒にプロに行こうな」と夢を誓い合った。可能性がある限り、指名を待つ。【望月千草】(つづく)

ドラフトファイル:福島滉貴
ドラフトファイル:福島滉貴