<指名を待つ男たち(2)>

九大から初のプロ野球選手誕生なるか-。最速144キロ左腕、芦谷汰貴投手(4年=修道)は「腕がちぎれるぐらい投げる」と、九州6大学秋季リーグで猛烈アピールを続けている。

ドラフトファイル:芦谷汰貴
ドラフトファイル:芦谷汰貴

9月13日の福岡大との開幕戦。8回に登板し、全日本大学選手権4強の強力打線を3人斬りで1イニングを無失点に抑えた。プロ注目の仲田慶介外野手(4年=福岡大大濠)に対しては「緊張はあったが縮こまったらダメと思った」と強気で攻め、142キロ直球で一邪飛に打ち取った。

広島県屈指の進学校、修道高を卒業後、1年浪人。猛勉強の末、難関国立大に合格した。工学部エネルギー科学科で学び、原子力系の研究に打ち込むが、目指すはプロ1本。大学院には進まず、就職活動も行わない背水の覚悟でいる。

入学時の直球は120キロ台後半だった。だが、授業中にプロテインを摂取するなど肉体改造で球速アップ。主にリリーフで、ここまで通算2勝を挙げている。目立つ実績はないまま、九大初となるプロ志望届を提出。周囲からは「変わっている。なんで九大に来たの?」と言われた。だが、野球を始めた小学3年生から夢見た最高峰への挑戦を諦め切れなかった。

九大初のプロ入りを目指す芦谷汰貴投手(2021年9月13日)
九大初のプロ入りを目指す芦谷汰貴投手(2021年9月13日)

アピールポイントは「135キロのキレがあるスライダーには自信があり、プロを狙えると思う」と言い、チェンジアップも武器にする。ドラフト会議当日、自宅で吉報を待つ。【菊川光一】