新たなアナリスト像を目指す。DeNA中井大介内野手(32)は来季から「ゲームアナリスト」に転身する。他球団でいうスコアラー。配球データなどを収集、分析して、選手や首脳陣などに相手投手や打者の攻略法を助言する仕事だ。職務は予想範囲内だったが、パソコン操作には苦戦。「商業高校なのでパソコンはありましたけど。研修していますが、ほぼ忘れていますね」と奮闘中だ。

10月20日、巨人戦で右前打を放つDeNA中井
10月20日、巨人戦で右前打を放つDeNA中井

現役時代、実績を残しても自信がなかった。宇治山田商(三重)では高校通算28本塁打、最速146キロと投打で注目された。プロでも高卒1年目から2軍では4番。2年目には平成生まれで最初に1軍で本塁打を放った。だが「この世界で自分がどういうレベルか現実を突きつけられた。なかなか自信を持てなかった」。15年に巨人の83代4番、17年には球団1万号とキャリアを重ねたが18年に戦力外通告。合同トライアウトをへてDeNAに移籍した。

中井の年度別成績
中井の年度別成績

プロ初出場した横浜スタジアムで12年後、現役最終安打を放った。10月20日の古巣巨人戦で強烈な右前打。「しっかりした自分のスイングしよう」。プロで初めて「結果と違うことを見つめて打席に向かった」。もう現役に未練はなかった。

DeNAで唯一、内野手出身のアナリストになる。中井以外は全員がバッテリー出身だ。「野手出身が少ない中で自分の色を出せれば。選手や監督、コーチの要望に沿いながら。今までと違うアプローチでいいものが出せれば」。これまで在籍した2球団で多様なスコアラーに接した。「配球だけでなく『お前ならこうして』と技術を絡めてアドバイスをくれる方もいた」。今度は自らのタイプを模索する。

選手としては、初球や追い込んだ時に投手がどんな球種を投げるかという傾向に情報を絞っていた。「いろんな人に助けられてやってこられた。今度は自分を犠牲にしながらチームをサポートしたい」。主役から裏方に回り、恩返しを誓った。【斎藤直樹】

21年DeNA退団選手
21年DeNA退団選手