今季は二塁手がハイレベルな打撃を見せている。打席に立った時の守備位置で打撃成績を調べた。打者の攻撃力を表すOPS(出塁率+長打率)という指標で二塁手がトップ。守備的なポジションでもある二塁が、他の攻撃的ポジションを抑えて1位という、異例の好成績だ。特に成績が上がっているのはセ・リーグ二塁手で、中でも現在首位の巨人がかつての「穴」を埋めている。

「打てなくてもいい」ポジションが、今季はハイレベルな争いになっている。打者の攻撃力を表すOPSで、二塁手が他のポジションを抑えてトップの数字。投手、捕手に加えて二遊間は打撃よりも守備が重視されがちなポジション。昨季のように、これらのポジションはリーグ全体よりも低いOPSとなることが多く、他のポジションを抑えてトップとなるのは異例だ。

二塁手のOPSを球団別に見ると、特にセ・リーグの数字がアップ。山田哲人を擁するヤクルトの1位は変わらないが、昨季リーグワーストだった巨人が、ヤクルトに次ぐ2位へ改善した。開幕から高打率を残した吉川尚が離脱したものの、代わりに入った山本が好調をキープ。近年、チームで穴となっていた二塁で、2人の若手が首位チームの支えとなっていた。巨人以外にも中日、DeNA、広島が数字をアップ。OPS8割に迫るハイレベルな争いを展開している。

パ・リーグに目を移すと、浅村の加入した楽天が大きく数字を改善させた。一方で浅村が抜けた西武はリーグ1位から大きく数字をダウン。いかに浅村が「打てる二塁手」という代えの利かない存在だったかがうかがえる。

まだ5月中旬なので、いつものような成績へ数字を落とすことも考えられるが、残りのシーズンもこのまま高い数字をキープしていく可能性も大いにある。「打撃も高レベルな二塁手」が、今後のトレンドになるか注目だ。【多田周平】

○…OPSで見た1位は二塁手だが、最も打率が高かったのは中堅手だ。巨人丸、中日大島、ヤクルト青木、西武秋山らを擁するポジションで、ソフトバンク柳田の離脱がありながらも、ここまでトップとなっている。中堅手で打率が低いのは、セがDeNAで2割1分6厘、パはオリックスの1割8分5厘(OPSもそれぞれリーグワースト)。ともに現在リーグ最下位の2チームは、中堅手で差をつけられている。

◆OPS(On-base Plus Slugging) 出塁率+長打率で算出。セイバーメトリクスの指標の1つで、総合的な打撃能力を表す。チーム得点との相関が強く、計算も簡単なことから重用されている。平均は7割1分前後で、9割を超えると一流、10割超えは超一流とされる。昨季の12球団トップは、現在巨人の丸で10割9分6厘。