高卒プロ2年目の日本ハム吉田輝星投手と巨人戸郷翔征投手が、先週11日にそろって先発。吉田は楽天戦で5回0/3を投げて4安打3失点(自責2)、戸郷はヤクルト戦で7回5安打1失点だった。野球評論家の西本聖氏が両投手の投球をチェックした。

11日楽天戦で6回途中3失点だった日本ハム先発の吉田輝星
11日楽天戦で6回途中3失点だった日本ハム先発の吉田輝星

-吉田輝は今季1軍初登板初先発。率直な感想は

西本氏 「若さがないな」と感じた。うまく投げようとして、軽くストライクを取りにいっているような気がした。ベテランのような投球に見えた。ちょっと残念。

-直球の最速は148キロ。カーブ、スライダー、さらにフォークボールも投げた

西本氏 すべての球種が平均点くらい。一つでも二つでも80点以上のボールが欲しい。やはりストレートをもう少し磨きたい。150キロは出るはずだし、制球ももっと良くなるはず。今回は高めに抜けた球が多く、やはりプロの打者にはしっかり見極められていた。

-西本さんも高卒でプロに入った。2年目はどんなシーズンだったのか

西本氏 2年目は開幕を1軍で迎えて4月15日に甲子園(阪神戦)で初登板(8点ビハインドの8回に救援)した。いきなりラインバックにホームランを打たれて3失点。すぐに2軍に落とされたが2軍(イースタン)で12勝を挙げて最多勝を取った。3年目は1軍で8勝して、以降プロでやっていけることができた。

-プロ1、2年目で大事なことは

西本氏 一つのボールを磨くことと、狙ったところに投げられるコントロール。私の場合はシュートだった。真っすぐは140キロ出なかったが、それでも勝てたのはシュートを覚えたからだし、カーブが曲がるようになったから。それと1、2年目はとにかく死にものぐるいで練習した。特に1年目のオフは高田馬場のビッグボックス(スポーツジム)に通って徹底的にトレーニングした。体幹が鍛えられて体にキレが出てきた。ブルペンではアウトローならアウトローと決めて100球以上は投げ込んだ。トレーニングも投球練習も目標を決めて徹底してやった。吉田輝も今年のオフの過ごし方が大事になると思う。140キロ出なかった私ができたんだから、彼なら10勝以上できる可能性は十分ある。

-巨人の戸郷は昨年終盤にデビューして今季は新人王の夢も膨らむ7勝。11日の試合も白星こそ付かなかったが見事な投球だった

西本氏 戸郷の特徴はあの独特のフォーム。アーム式の腕の振りから右肘が遅れて出てくる。真っすぐは150キロ以上出るし、フォークやスライダーがいい感じで抜けてくる。バッターからすると非常にタイミングが取りづらいピッチャーと言える。

-今後の課題は

西本氏 上半身が強い投げ方なので肩や肘の故障が心配。今は無我夢中でやっているが、これから3年、4年とやっていく中でどこまで続けられるか。そのためにはしっかり体のケアをして、同時により強い体をつくる必要があると思う。吉田輝と同じくオフの過ごし方が大事になる。

11日のヤクルト戦で力投する巨人戸郷
11日のヤクルト戦で力投する巨人戸郷