元ロッテの里崎智也氏(野球評論家)の「ウェブ特別評論」を掲載中。43回目は「プロ野球助っ人通信簿~セ・リーグ編~」です。


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 3月31日のプロ野球開幕から早くも約3カ月になろうとしている。交流戦を終えて60試合超を消化した。各球団の外国人選手の活躍度合いもはっきりしてきた。7月末まで補強は可能だが今回は助っ人にフォーカスした。12球団の外国人選手を投手部門、野手部門に分けて勝利への貢献度を4段階評価してみた(成績は交流戦終了時点の6月20日現在)。

※花丸=文句なし、◎=すばらしい、○=良い、△=もう少し、×=さらなる奮起を



◇セ・リーグ

【1位 広島の助っ人=投手◎、野手は花丸】

 中継ぎのジャクソンは、開幕から67試合で30試合登板のフル回転。防御率2・45でリーグ2位の20HP(ホールドポイント)は合格点だ。交流戦の最後4試合連続失点は気になるところだが、リーグ戦再開までの4試合でどこまで疲労回復できるか。4試合連続失点の内容を見ると球数が20球を超えたケースで失点の可能性が高まっている。1イニング19球以内ならほぼ抑えており、20球がスタミナ面での判断材料か。昨年15勝のエース・ジョンソンが帰ってきたのは心強い。体調不良も癒えて9日に復帰し今季初勝利、今後の活躍の期待値も込めて2投手で◎。

 野手は本塁打争いでセ2位のエルドレッドが16本をマークし、1位中日ゲレーロ(19本)を追いかける活躍。交流戦は打率2割1分2厘、3本塁打と伸び悩んだが、開幕から46打点はセ3位タイ、チームへの貢献度はここまで文句なし。

 また、彗星(すいせい)のように現れたバティスタは3日のロッテ戦で外国人選手初となる代打初打席アーチを放つなどド派手なデビューを飾った。わずか25打数ながら6安打の内訳が二塁打2本、4本塁打と長打力はハンパない。代打の切り札として面白い存在となるだろう。野手は花丸。


【2位 阪神の助っ人=投手花丸、野手×】

 先発メッセンジャーはここまでリーグトップタイの7勝、防御率も2・59と頑張っている。守護神ドリスの20セーブはリーグトップ、防御率も2・51と奮闘している。中継ぎのマテオは17日の楽天戦で珍しく4失点したが「勝利の方程式」の一角として、32試合登板でセ1位の24HP、防御率1・80は素晴らしい。投手陣は花丸。

 野手は内野のキャンベルだけだが、打率1割9分1厘と寂しい成績。とはいえ阪神は若手も伸びてきており、キャンベルが奮わなくても打線は現段階では影響がないのが正直なところ。キャンベルには申し訳ないが奮起を期待して×。


【3位 DeNAの助っ人=投手△、野手◎】

 5月中旬までに3勝した先発ウィーランドは2桁勝利を期待させたが、今月1日に右肘の張りで選手登録を抹消された。4月中旬までに2勝したクラインも、3連敗で現在は2軍調整中。中継ぎパットンは交流戦最終戦となった19日のオリックス戦で3失点。開幕から30試合登板で防御率こそ3・72とパッとしないが3勝2敗7セーブ、10ホールドは数字的に評価。投手全体では△。

 野手陣はロペスが全66試合先発出場し打率3割2分5厘(セ4位)53打点(同1位タイ)14本塁打(同4位)は優良助っ人の手本。今後の活躍次第では3冠王も狙える位置だ。エリアンは打率2割5分で右肩下がり、シリアコはわずか10試合出場で打率8分と厳しい。それでもロペス1人で3人分の活躍。野手は◎。


【4位 巨人の助っ人=投手◎、野手◎】

 投手陣はマイコラス、マシソン、カミネロがまずまずの働き。開幕投手を務めたマイコラスは12試合に先発し6勝3敗、防御率2・64と合格点。マシソンは27試合に登板し防御率1・99は素晴らしい。守護神カミネロも23試合に登板し0勝2敗14セーブ、防御率1・73と仕事をしている。3投手総合で◎。

 野手は外国人枠の関係で1人しか起用できないが、マギーは全65試合に先発し、打率3割2分(セ7位)と上々の活躍で◎。


【5位 中日の助っ人=投手◎、野手◎】

 投手陣はジョーダンは、先発、中継ぎの手薄な陣形をカバリング。13試合で先発7試合、中継ぎ6試合登板し、先発で4勝挙げ防御率2・50。粘り強い投球は評価できる。先発バルデスはシーズン序盤は好投しながらも白星に恵まれなかった。苦労しながらも13試合で3勝4敗、防御率2・35は立派な成績で◎。

 野手は強力だ。開幕当初、苦しんでいたゲレーロは4月下旬に打率2割付近をさまよったが、現在は打率2割6分4厘、リーグトップの19本塁打は長距離砲として文句なし。ただ1点、19本塁打のうち16本がソロ。これだけの長打力を持ちながら打点40はその影響か。得点圏打率2割4分6厘がもう少し上向けば。もう1人のビシエドは、64試合に出場し打率2割4分6厘、13本塁打とまずまず。こちらもゲレーロ同様、得点圏打率が2割8厘。2人とも得点機での勝負強さに期待したい。評価は◎。


【6位 ヤクルトの助っ人=投手○、野手△】

 投手では先発ブキャナンが12試合登板で4勝4敗、防御率2・20と頑張っている。リリーフ陣はルーキが33試合で2勝4敗14ホールド、防御率4・31。ギルメットは17試合で防御率5・82と微妙。ブキャナンの踏ん張りに評価は○。

 野手はバレンティンが足のけがで8日に選手登録を抹消された。それまで打率2割8分5厘、9本塁打とまずまずの働きを見せていただけに手痛い戦力ダウンとなった。今月4日に1軍初昇格となったばかりのグリーンは、打率2割2分7厘、2本塁打はもう一息。野手評価は△。


 ◆里崎智也(さとざき・ともや)1976年(昭51)5月20日、徳島県生まれ。鳴門工(現鳴門渦潮)-帝京大を経て98年にロッテを逆指名しドラフト2位で入団。06年第1回WBCでは優勝した王ジャパンの正捕手として活躍。08年北京五輪出場。06、07年ベストナインとゴールデングラブ賞。オールスター出場7度。05、09年盗塁阻止率リーグ1位。2014年のシーズン限りで引退。実働15年で通算1089試合、3476打数890安打(打率2割5分6厘)、108本塁打、458打点。現役時代は175センチ、94キロ。右投げ右打ち。

(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「サトのガチ話」)