最後は笑って終わった。横浜旭陵・相模向陽館の連合チーム(神奈川)は横浜に5回コールド負けしたが、横浜旭陵・岩田理希捕手(3年)は「横浜を相手に戦えたことを誇りに思います。大敗でしたけど、出し切れました。後輩たちが頑張ってくれると思います」と話した。初戦の寒川戦に延長11回の末、勝利。横浜との2回戦に臨むことができた。連合チームのキャプテンはすがすがしい表情をしていた。

最初は、うまくいかなかった。バッテリーを組む相模向陽館の野地心穏(しおん)投手(3年)と出会ったのは、1年冬のこと。「もともと、無口なやつで。練習内容も話してくれなかった。コミュニケーションが取れなかったんです」と懐かしそうに振り返る。合同で練習できるのは、月1、2回。普段は互いのチームで練習し、一緒にやれる日は実戦練習にあてた。機会が限られるだけに、意思疎通が欠かせない。バッテリーなら、なおさらだ。だが、かみあわない。サインを出しても、首を振られる。連合チームの難しさに直面した。

それでも、諦めなかった。顔を合わせれば声をかけた。「そのうち、向こうから話し掛けてくれるようになりました。野球だけじゃない、日常の話もしてくれました」と絆が深まるにつれ、首を振られることもなくなった。

横浜には10安打12四死球で11失点。初回には暴投、後逸のバッテリーミスを連発。いきなり6点を失った。結果だけ見れば喜べないが、それでも岩田は「ベストピッチじゃないけど、野地は出し切ってくれたと思います」と断言した。思いは、打撃でつながった。4回1死一塁、3番野地が四球を選び、4番岩田がチーム初安打となる中前適時打を放った。これが、唯一の得点となった。岩田が「あのまま終わるわけにはいかなかったです」と意地を見せれば、野地は「自分のことのようにうれしかったです」と喜んだ。

当初は、前日16日に試合予定されていた。雨で順延されたことに、岩田は「野球の神様が、僕たちの野球の期間を長くしてくれたのかな」とポツリ。昨夏は別々のチームで出たが、1年冬から組んだ相棒との野球も、これで終わりだ。

岩田 かけがえのない存在です。

野地 頼もしいです。

最大のリスペクトを送りあった。【古川真弥】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)