室内練習場で巨人亀井(手前)と談笑する春川編成本部次長兼国際部長(撮影・狩俣裕三)
室内練習場で巨人亀井(手前)と談笑する春川編成本部次長兼国際部長(撮影・狩俣裕三)

ひょっとしたらベテラン左腕・岩田稔には“残念な事態”になったかもしれない。ちょっとした「時の人」になっている先輩の前で好投するチャンスが失われたという意味で、だ。

朝からの雨で28日巨人戦は雨天中止となった。今季初めての中止だ。これを受け、先発投手陣は登板順が変わる可能性が出てきた。青柳晃洋がきょう29日にスライド登板するのは指揮官・矢野燿大が早々と明かした。しかし相手との相性、他投手の状態などを考慮し、今回の巨人戦で登板が予定されていた岩田の出番はなくなるかもしれない。

この日の室内練習場にいると少し前に球界というか世間で話題になった人物が姿を見せた。春川正明。58歳。読売テレビの解説委員から巨人の国際部長に転身し、ニュースになった。同局の「情報ライブ ミヤネ屋」に出演していたことでも知られる。ミスター長嶋茂雄にちょっと似ているのも結構、有名だ。

お久しぶりです。巨人のジャンパー姿がいいですね。写真でも撮りますか。面識があるので、そんな話をしたが「いやいや。裏方なのでやめときましょう。仕事はまだまだこれからですよ」と笑顔で話していた。

春川は関大野球部出身。岩田の先輩に当たる。転身が日刊スポーツなどに報じられたとき、岩田は妙にテンションが上がっていた。当方も野球部出身ではないが関大卒。そんなこともあり「先輩が攻めましたね」と笑って話してきた。

確かに50代での転身は「攻めた」といえる。自身もベテランの域に来ている岩田にしても興味があるのだろう。そして春川の前で好投するのが1つのモチベーションにもなった。前回15日に岩田が投げた東京ドームの巨人戦でも春川は姿を見せていたのだが岩田との接触はなかった。

「いませんでしたよね? いたの? 会わんかったなあ」。岩田は残念そうに話した。先週にはこんなことも言った。「来週は巨人戦か。ボクは1戦1戦なんで。来週、投げられるかどうかは分からない。1戦1戦です」。その22日ヤクルト戦は勝利投手にこそなれなかったが6回1失点の好投。この巨人3連戦でも投げるはずだったのだがこの中止でどうなるか。

いずれにしても岩田には巨人戦で、春川の前で投げるまで好投を続けてほしい。それがチームの上昇につながれば言うことはないのである。(敬称略)

気合の表情で練習する岩田(撮影・上田博志)
気合の表情で練習する岩田(撮影・上田博志)