「やっぱりゲッツーのとこやね」。サヨナラ勝ちを決めた指揮官・岡田彰布がテレビ・インタビューで最初に発した言葉だ。この試合の併殺は7回に中日カリステが記録したものだけ。これだけ聞けば、一瞬、何のことか分からなかったかもしれない。
しかしせんえつながら、こちらは「ははあ。やっぱりなあ」と思った。それは阪神1点リードの6回表だ。1死一、三塁のピンチで中日の7番打者・木下拓哉は遊ゴロを放った。「ゲッツーでチェンジや!」。岡田を筆頭に阪神ベンチ、さらに虎党もそう思った瞬間だろう。ところがゴロを捕球し、送球に移るタイミングで握り損ねるミスが出た。ジャッグルだ。
これで三走がかえり、同点に。さらに2死一、二塁と場面が変わった後、先発・西勇輝が一時は勝ち越しとされる適時打を代打後藤駿太に浴びたのだ。西勇はここで降板となり、勝利投手にはなれなかった。
この勝利で「貯金25」とした首位阪神と「借金25」の最下位・中日、ゲーム差も「25」。計算しやすいというか、置かれている現状が数字で出ているのだが、対照的な両球団が争っているジャンルがある。
それは「失策数」だ。今季は開幕から中日に失策が多く、阪神はワースト2位の座にいることが多かったようだが、ここに来て試合前まで両軍の失策数は「63」で並んでいた。従ってこれで阪神の失策数はリーグワースト「64」となった。
阪神の守備は長年の課題だ。昨季まで5年連続でリーグワースト。それもあって岡田就任に伴い、阪神に縁のなかった馬場敏史を内野守備コーチに呼び、秋季キャンプから守備力向上に取り組んできた。それでも土のグラウンドである甲子園が本拠地という面もあり、失策数はそう変わらない状況が続いている。
「エラーなんか、そら出るよ」。そう話したこともある岡田だが、この木浪のプレーばかりは痛がった。木浪は焦ったのだろうか? という質問に「打球は緩かったけどな。でもおまえ(俊足ではない)木下やし、楽勝やろ」と苦笑した。
いずれにせよ、やはり失策はこわいということだ。このまま無事にリーグ制覇しても、日本シリーズに進むためにはCSがある。短期決戦でのミスは命取りとされる。「しっかり練習して、気合入れ直したいと思います」。木浪はそう言った。それでお願いしたい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




