宜野座は時に強くなる雨の1日となった。ブルペンはもちろん、打撃、守備練習も室内練習場だ。ここで内野守備走塁コーチ・田中秀太が、木浪聖也、佐藤輝明ら内野陣を相手に少し面白い練習をしていた。
ノックして、捕球した選手はボール受けのあるネットに送球する。きっちりと網に収まれば「1本!」と数え、一定数になった選手から練習を終われる、というものだ。
「遊びですよ、遊び。楽しくやろうとね。そんなに深く考えてないよ」。秀太はそう話したが失策が課題のチームにあって送球ミスが多いのも事実だ。イメージとしてもいい練習だと思ったのである。
いっしょに見ていたのは「神整備」で知られる阪神園芸・金沢健児だ。「土のグラウンドだから失策が多いという声もあるけれど、鳥谷(敬)や大和のとき、そんな話はなかったですからね。鳥谷なんて練習でいくらノックを受けてもミスしなかったですよ」。自らのプライドを少しにじませながら話した。
そんな金沢が「でも彼はうまくなった」と強調するのが木浪だ。前監督・岡田彰布が正遊撃手として起用。才能を開花させ、日本一の23年には「恐怖の8番打者」として存在を輝かせた。「プレーに落ち着きがでてきた。安心して見ていられる。それにあの姿勢ですよ…」。小幡竜平らライバルはいるが、やはり今季の遊撃レギュラーNO1候補だろう。そこで金沢が続けたのはこんな話だ。
本拠・甲子園でのゲーム、木浪はほとんど一番乗りでやってくる。ウオームアップでフェンス際を走ったりするのだが風で飛んできたゴミがあると必ず拾うという。金沢たちが「こっちで捨てておくよ」と声をかけても「運を拾うのがいいんですよ」と笑ってポケットにしまうらしい。
「早く球場に来るのは誰でもできる。実際、そうしている選手もいます。でも、あの言動です。そりゃ、うまくなると思いますよ」。金沢はそう続けた。
守備は一流の仲間入りをしたが昨季は打撃不振に泣いた木浪。ここが復活、というか23年のような働きができれば…。虎党なら誰もが考えることだろう。木浪よ、今季はやってくれるのか。ズバリ、聞く。
「まあ、見ててくださいよ」。そう言ってニヤリと笑った。その言葉に期待したい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




