鮮やかな大逆転で、初の8強入りだ。東海大四(北海道)が春夏通算11度目の出場で、悲願の甲子園2勝をマーク。21世紀枠で82年ぶり出場の松山東(愛媛)を逆転で下し、道勢としては13年の北照以来、2年ぶりの準々決勝進出を決めた。2点を追う8回、4番邵広基(そう・かんぎ)一塁手(3年)らの4連打で一気に試合をひっくり返した。投げてはエース大沢志意也(3年)が、2試合連続2桁奪三振で2失点完投。今日29日第4試合(午後4時開始予定)で、高崎健康福祉大高崎(群馬)と、4強入りを懸けて戦う。

 秀才軍団には、負けられない。終盤、東海大四打線が、ようやく本領を発揮した。0-2で迎えた8回1死三塁、2番金村航成二塁手(3年)の左越え適時二塁打で1点差に詰め寄ると、3番山本浩平右翼手(3年)が二塁手の後方に落ちる二塁打(記録は中前二塁打)で続き二、三塁。打席に立った邵は「4番として、あそこで打たないといけないと思った」と、使命感に燃えていた。1球目の変化球を悠々と見逃し、2球目。内角直球を、バットの芯でとらえた。一、二塁間を破った逆転の殊勲打に、ヒーローは「大沢が我慢して投げていたので、何とかしたかった。久々の感触で気持ち良かった」と、爽快な笑顔を見せた。

 ビハインドにも、焦りはなかった。終盤の競り合いに、自信があったからだ。「俺たちの7、8、9回だ」。攻撃前の円陣では、いつも自然とこんな言葉が出る。昨秋の北海道大会準々決勝、北見工に逆転サヨナラ勝ちしてから、劣勢にも慌てなくなった。序盤は、松山東のエース亀岡優樹(3年)の変化球を見極められず攻めあぐねたが、イニングを重ねるごとに目も慣れてきた。多彩な変化球は捨てて、直球狙い。9番渡瀬太揮中堅手(3年)から始まった8回の犠打を挟んでの4連続長短打は、すべて直球をはじき返したものだ。左越え適時二塁打でチーム初打点を挙げた金村は「やりました! 心の中でガッツポーズしました。信じられないほどうれしかった」と、無邪気に大喜びした。

 チームは過去5度、はね返されてきた甲子園2勝の壁を、ようやく越えた。試合後、お立ち台に上がったOBの大脇英徳監督(39)は、すぐに言葉が出なかった。目を潤ませ「うれしいです」と一言、絞り出すと、創部51年目で初の8強入りに「長かったです。本当に感動しました」と感極まった。前日27日には、駒大苫小牧を率いて夏2連覇した香田誉士史氏(43=西部ガスコーチ)から激励を受けた。「1つの壁を越えたので、行けるところまで行きたい」と大脇監督。道勢にとって、22年ぶりの4強入りを狙う。【中島宙恵】

 ◆北海道勢の甲子園8強以上 今大会の東海大四が13年の北照以来2年ぶり10度目。夏は1922年(大11)の北海のベスト8が最初で8強以上は18度。最高成績は04、05年の駒大苫小牧の優勝。