北海道勢22年ぶりの4強だ! 東海大四が高崎健康福祉大高崎(群馬)を下し、準決勝進出を果たした。公式戦初先発の左腕・権濤源(ごん・とうぉん)投手(2年)が4回5安打で要所を締め、5回からは満を持して登板したエース大沢志意也投手(3年)も5回を3安打5奪三振の気迫の投球。機動力対策の継投が奏功し、無失点に抑えた。明日31日、道勢52年ぶりの決勝進出を懸け、13年春Vの強豪・浦和学院(埼玉)と対戦する。

 知力を尽くした無失点リレーだった。東海大四がマウンドに送り込んだのは公式戦初先発の2年生左腕、権だった。投球の際に一塁側を向く左腕は、一塁走者の動きが見やすい。昨夏の甲子園で「機動破壊」を掲げ、大会記録に迫る26盗塁で8強入りした高崎健康福祉大高崎の足技を封じるため、相手の意表を突く投手起用で勝負に出た。

 権の直球は球速120キロ前後だが、打者の手元でぐんと伸びる。毎回走者を背負ったが「いつも通り投げれば、悪い結果にはならないと思って投げた」と、背番号11は冷静だった。3回1死一塁からは、わざと間合いを長く取り、一塁走者を誘い出して挟殺プレーでアウトを取るなど、4回5安打無失点で初の大役を見事に果たした。

 味方が1点を先制した直後の5回裏からは、前日28日の2回戦で完投したばかりのエース大沢が、好救援で後輩の力投に応えた。「肩は張っていたし、痛みもあった」と万全ではなかったが「権がゼロでしっかり抑えてくれていたので、ここはエースの仕事をやり切ろうと思った」。8回2死走者なしからは、相手の1番打者に超スローボールを投げて、スタンドから拍手喝采を浴びた。「余裕があったというより、楽しんで投げた」。5回3安打無失点でマウンドを守った。

 バッテリーには、相手の機動力を封じる自信があった。走者のリードに法則があることに気がついたからだ。2回無死二塁で、飛び出した二塁走者をアウトにした小川孝平捕手(3年)は「ずっと狙っていた」とニヤリ。走者が膨らんでリードを取る時は、投手のけん制を誘う時。直線気味の場合は、次の塁を狙ってスタートを切ってくる。昨秋の長崎国体で対戦した先輩捕手からも「リードの出方が変わる」と助言を受けていた。癖を知ったことで心理的優位に立ち、走者を出しても動揺しなかった。

 準決勝では、昨秋の明治神宮大会2回戦で0-10で完敗した浦和学院と激突する。「神宮大会ではボコボコにされた。その借りを返すため、ここまでやってきた。あの時より、僕たちは成長している」と、大沢はチームの思いを代弁した。道勢にとって半世紀ぶりの決勝進出を懸けて、雪辱戦に臨む。【中島宙恵】