札幌地区が開幕し、昨年地区代表の札幌丘珠が札幌清田を下し、初戦を突破した。8安打で小刻みに得点を重ね、左腕エース広岡雄介(3年)の5安打完封で3季ぶり勝利を挙げた。私立校が優勢な同地区にあって過去10年で公立最多タイ4度の南大会に進出している同校が掲げるのが「公立最強」。夏は00年の札幌南以来、公立校として15年ぶりの甲子園出場を目指し、好スタートを切った。

 札幌丘珠がまずは初戦の関門を越えた。3季ぶりの勝利。現チームになって初めて勝った。2回に先制。まだ気は抜けなかった。昨秋と今春、2季連続で1得点に終わり初戦敗退。4回1死二塁に5番越智裕也左翼手(3年)の左前適時打で追加点を奪うと勢いは加速した。さらに点を重ねて札幌清田を引き離した。昨夏以来の公式戦登板だったエース広岡も完封でけん引。「完封もうれしかったけど、勝って校歌を歌えたのが気持ちよかったですね」とご満悦だった。

 狙うは「公立最強」だ。両翼98メートル、中堅120メートルの専用グラウンドに室内練習場を備え、公立校としては好環境だが、道外遠征はおろか道内遠征も年に1、2度しかない。それも専用バスを持たず、遠征費がかさむため練習試合だけの日帰りだ。春休みに温暖な地域でキャンプを行う私立校に比べればハンディはある。それでも金子磨志(きよし)監督(45)は「地元の選手ばかりだけど、来た選手を鍛えたい」と反骨心を持つ。過去10年で4度の南大会出場は、札幌地区の公立校では札幌南と並び最多。公立有数の実力校となったが、まだ夢は半ばだ。

 13年から2年連続で地区を突破。公立で3年連続記録を持つのは札幌南のみだ。ナインは重圧とも闘う。公式戦、練習試合問わず、敗戦した場合は1周約300メートルのグラウンド50周のペナルティーが与えられる。広岡は「負けた試合を思い返しながら走った」。悔しさと苦しさを刻んだ分、勝負の夏への思いも強さを増した。

 札幌地区から公立で春夏通じ道大会優勝経験があるのは、札幌南と札幌開成のみ。南北海道全体でも15年間遠ざかっている。次戦は春の全道王者で春夏合わせ47度の甲子園出場を誇る北海。越智は「勝たなければ全道に行けない。この2週間振り込んだので、打って勝ちたい」と気後れしていない。強豪撃破で夢にまた1歩近づく。【保坂果那】

 ◆公立校と夏甲子園 南北海道勢では8校が出場している。最多は函館工の4度(47、48、57、63年)で、札幌南の3度(27、39、00年)が続く。52年の函館西など4度ある8強が過去最高。南北合わせて直近では12年に北北海道の旭川工が帯広三条に並ぶ最多5度目の出場。