エースが復活した静岡商が沼津東に逆転勝ちした。先発は、右肩痛のために春季大会を欠場した背番号1の森亮太投手(3年)。先制点は許したものの、自己最速となる140キロのストレートなどを武器に9三振を奪い、完投勝利を挙げた。2回戦となる19日の浜松商との名門対決に向けて弾みをつけた。

 復活を告げる完投劇だった。森は躍動感あるフォームで、次々と力強い直球を投げ込んだ。球速表示は自己最速を1キロ更新する140キロをマークする。4回に2失点したものの、5回には味方打線が沼津東の好投手・久郷大雅(3年)を粘り強く攻めて逆転に成功。味方の援護を胸に「気持ちでぶつかった」と直球に加え、スライダー、カーブも織り交ぜて9三振を奪った。

 3月上旬の練習試合後、森は右肩痛に見舞われた。担当医の勧めもあり、春季大会は欠場。本格的な投球再開は5月に入ってから。大会前の神奈川遠征時、激励に訪れたOBで12年の県準Vエース中本聖エリヤ(日体大)にマウンドでの心構えを尋ねたという。「常に自信を持って投げろ」との助言をもらい、弱気な気持ちを封印。「春に投げられず、迷惑をかけた分、自分1人で投げ抜くつもりだった」と強気な姿勢を貫いた。

 19日の2回戦は浜松商との名門対決となる。浜松商1番・伊奈堂(3年)とは毎日のように連絡を取り合う間柄だ。「浜商には練習試合の2試合とも勝っている。相手がどこでも負けられない」。復活をアピールした森が、9年ぶりの甲子園を狙う名門をけん引する覚悟を示した。【藤中栄二】