今春の奈良王者、高田商が奈良大付に競り勝ち4年ぶりに8強入りした。両チーム無得点で迎えた9回1死二、三塁。有迫拓央(たくおう)外野手(3年)の打球は左翼ポール際ぎりぎりの3ラン。「外野フェンスに当たるかも、とは思いました。でも絶対に切れない自信はあった」。確信の決勝弾に、5番打者は胸を張った。

 この日が高校7号で、身長177センチ、体重77キロと「7」が並ぶ。「ラッキー7です」と本人は幸運を喜ぶが、日ごろの練習の成果で苦戦を快勝に変えた。奈良・大和郡山市の自宅マンションからわずか20メートルの距離にあるバッティングセンター。阪神西岡やロッテ荻野らが学生時代に練習した場所は、有迫の練習場。「体が開かないように」と気を配り、学校での練習後もセンターに通う。だからこそ、ポール際ぎりぎりの打球でも「切れない」自信があった。

 相手・奈良大付の池田陵太主将(同)は郡山北小、郡山中を通じて8年間、チームメートだった。「昔から熱いヤツで。きょうの2安打を見ても熱さが伝わってきました」。試合後、目を真っ赤にした池田から「甲子園に行ってくれよ」と託された。幼なじみの夢も引き継ぎ、目指すは52年ぶりの夏甲子園。大先輩の横浜DeNA三浦大輔も果たせなかった夢に挑む。【堀まどか】