やっぱり、甲子園が一番だ。第27回U18(18歳以下)ワールドカップ2次リーグで、高校日本代表が7回コールドで韓国に圧勝し、7戦全勝で決勝進出を決めた。早実・清宮幸太郎内野手(1年)は、5回の第3打席に中前へ9打席ぶりのヒット。甲子園で今大会初のマルチ安打をマークした。投げては開幕ブラジル戦に先発した中京大中京・上野翔太郎投手(3年)が、7回3安打10奪三振で完封。2大会連続の日米頂上決戦に導いた。

 清宮が、甲子園の声援と拍手を気持ちよさそうに浴びた。今大会初めて高校野球の聖地で行われた試合で4番に座り、4試合ぶりの快音を響かせた。マルチ安打に“清宮節”も戻った。

 清宮 甲子園は違いますね。独特の雰囲気が自分をもり立ててくれるというか、気持ちを楽にさせてくれる。見えない力を自分にくれたのかな。やっぱり、甲子園が一番良いですね。

 韓国の高校NO・1右腕を打ち砕いた。5回無死一、二塁。韓国プロ野球の名門サムスンから1次指名を受けたチェ・チョンヨンの低め144キロ直球をライナーで中前に運んだ。「今までにない、良い集中ができました」と胸を張った。

 打撃以外でも成長を証明した。6回の第4打席、遊撃横へのボテボテの当たりに全力疾走。「いいところに転がったので、頑張って走りました」と左膝の違和感の影響を感じさせず内野安打。西谷浩一監督(45=大阪桐蔭)は「ちょっと一生懸命やるようになった。1本出て、また乗ってくれるんじゃない」とうなずいた。

 復活のイメージはできていた。12年にリトル世界一に輝いた直後の韓国遠征で対戦した際、右翼スタンド奥の森へ消える場外弾を放った。「すごいの打ったんですよ。(韓国は)良いイメージがある」と得意げに話していた。この日の試合前には、早実・加藤雅樹前主将(3年)から「ニコニコフルスイング、待ってるぞ」とLINE(ライン)が届いた。尊敬する先輩の優しさに「いつもの感じでできました」と感謝した。

 1試合を残して、米国との決勝が決まった。「4番の自覚が出てきた。どんなことがあっても、自分が打線を引っ張る」。甲子園で復活した怪物・清宮が、世界一に導く。【鹿野雄太】

 ◆2次リーグ 1次リーグA、B各組の上位3チームが進出し、別組の3チームと対戦。1次リーグ当該対戦を加えた通算成績で1~4位を決め1、2位が決勝、3、4位が3位決定戦を行う。

 ◆日本と米国が決勝進出 日本は5日に敗れ4勝1敗で米国に並ばれても、直接対決で勝っているため1位。3勝1敗の米国は韓国に3勝2敗で並ばれても直接対決で勝っており2位が確定。

 ◆日本の米国戦 今大会では1次リーグ(8月29日・舞洲)で対戦し、佐藤(仙台育英)が3-0で完封勝ちした。前回の13年大会では予選2次ラウンドで4-10と完敗し、決勝(台湾)でも先発の松井(桐光学園=現楽天)が6回に勝ち越し打を許すなど2-3で敗れ、初優勝を逃した。