早実・清宮幸太郎内野手(1年)は、発言も16歳離れしていた。試合への意気込みを報道陣に求められても「頑張ります」などと、単純には答えない。「人と同じようなことは好きじゃない。同じことをしていたら、埋もれちゃう」。高校入学から約8カ月。どんな状況でも自分を貫き、丁寧に答え続けた。

 個性あふれる言葉の数々は、“英才教育”から生まれた。ラグビーのヤマハ発動機で監督を務める父克幸氏(48)の仕事の関係で、幼少期から「人前で話す場面が多かった」という。大人顔負けのトーク力は「父に『頑張りますとか言うな』と言われていた。もう染みついています」と説明した。父も「基本的に、選手育成と子育ては変わらない。自分の力を出すには、どんな気持ちで臨むかが大事だ」と話していた。発言する前にしっかりと考え、素直な思いを語る。父の教えが、プレー面でも大きく成長させたに違いない。

 年内の練習納めとなった28日も、独特の表現で1年を締めくくった。今秋の都大会は2回戦で敗退。来春のセンバツ出場は絶望的となった。5季連続甲子園の夢も大きく遠のいたが「来年(甲子園に)戻って優勝するための活力だと発想を変えて、頂点を狙っていきたい」。前向きな言葉で自らを奮い立たせ、結果で証明してきた。清宮は、有言実行を続けていく。【鹿野雄太】