全国高校野球選手権新潟県大会が今日8日、開幕する。春季県大会の覇者、新潟明訓をけん引するのは4番秋葉悠左翼手(3年)だ。ヤクルト山田哲人内野手(23)を参考にした打撃フォームで春季県大会は打率5割をマーク。好調を維持し、チームを4年ぶり7度目の夏の甲子園に導く。

 右肩から担ぐように下げたバットが、勢いよくはね上がる。そのリズムに乗るように左足を大きく踏み込みながら、鋭いスイング。秋葉のフォームは山田と同じ流れだ。「どの方向にも強い打球が打てるようにしたい」。レベルアップを追求しながら夏を迎えた。

 「力んでいるわけではないんです。長打力があるし、きっちり打ち分けられる」。本間健治郎監督(42)が言うように、フォームは山田のマネではなく、自分のものにしている。春季県大会は22打数11安打9打点、打率5割。決勝の北越戦ではソロ本塁打を放った。準決勝に進出した春季北信越大会は2試合で5打数1安打だったが、四球は3。「四球を選ぶことも4番の仕事」(秋葉)と役目を果たした。

 ただ、春の県制覇も、北信越大会4強も終わったこと。「夏は挑戦者として立ち向かっていく」。秋葉は夏の頂点に立つため、自分の打力をチームの武器の1つとして磨いてきた。怠らなかったのは山田の打撃チェックだ。今も無料動画サイト「You Tube」などで繰り返し見ている。

 取り組み始めたのは冬場。それまではバットが体の外から回って出るくせがあった。「山田選手のフォームがいちばんタイミングが取りやすかった」。山田の構えをヒントにしてからは、コンパクトに振れるようになった。

 テレビで見た山田の練習方法も参考にした。ティー打撃で真横からボールを投げ入れてもらい、ミートを心がける。落ちる変化球の対処のため、ワンバウンドしたボールを打つ。このメニューで毎日の朝練習で80球ほど打ち込んだ。全体練習後の自主トレは、素振りよりもティー打撃に時間を割いた。

 小針小6年だった10年夏。甲子園球場を訪れ、履正社(大阪)の3番打者だった山田を見た。山田はこの大会の2回戦聖光学院(福島)戦で2ランを放っている。「すごい打者がいるんだなと思った」。今、その選手は球界屈指のスラッガー。そして自分の手本。「うちの不動の4番です」。本間監督は全幅の信頼を寄せる。「チームが勝つための打撃をする」。秋葉は山田がプレーした舞台、甲子園を視界に捉えている。【斎藤慎一郎】

 ◆秋葉悠(あきば・ゆう) 1998年(平10)12月10日、新潟市生まれ。小針小2年で野球を始める。小針中では新潟シニアに所属し、遊撃手。新潟明訓に入学し、1年の夏にベンチ入り。昨秋から4番で左翼手。171センチ、74キロ。右投げ右打ち。血液型B。