第99回全国高校野球選手権岩手大会の組み合わせ抽選会が23日に行われた。今春のセンバツに、わずか10人で出場した不来方(こずかた)は、7人増の17人で今夏を戦う。

 17人の新生不来方は11日の初戦(2回戦)で昨夏4強の一関工と対戦する。センバツ後の公式戦マウンドに立ってないエース小比類巻圭汰主将(3年)は胸を張って、堂々とくじを引いた。「試合をやったことがないので分からない。ベストを尽くすしかないし、なるようにしかならない」。開幕まで約2週間に迫り、大黒柱の表情は気合で引き締まっていた。

 屈辱の春から、はい上がる。センバツ帰りの盛岡地区大会は右肘違和感のため大事をとり先発回避するも、まさかの2連敗で県大会出場を逃した。小比類巻は「自分が投げられず迷惑をかけたが、今は大丈夫」と万全を強調する。5月中旬の練習試合から先発復帰した。完投こそないが、小山健人監督(30)は「調子は上がっている。一戦必勝で戦える」と評価した。

 4月から選手が7人増えても、貫く野球は変わらない。小比類巻は「打たないと勝てないのは変わらない」とセンバツに続いて攻撃偏重を宣言する。選手が増えて守備練習をスムーズに行えるが、打撃練習の時間はキープしている。17人で初めて戦った公式戦で感じたベンチワークのとまどいも既に解消済み。小比類巻は「もう慣れた。1年生には和気あいあいとやってもらっている」と笑った。

 甲子園の土を踏んだからこそ、分かる感触がある。小比類巻は春夏連続の甲子園しか狙っていない。「春負けた経験を糧にやってきた。その成果を存分に発揮できたら」。失うものは何もない。マウンド上で持っている力のすべてを出すだけだ。【高橋洋平】