桐蔭学園の浜口慶選手(3年)が9回に持ち味通りの出塁を果たしたが、逆転はならなかった。9回1死一塁、代打で登場。初球をスイングした。不規則な回転のかかった打球は、一塁ゴロとなったが、一塁手は二塁へ悪送球。結果的には1死一、二塁とチャンスを広げる一打となった。ただし、後続は続かずにゲームセット。まさかの敗戦に、浜口は「甲子園に行きたかった」と涙ながらに言った。

 桐蔭学園の代打の神様だ。3月以降の43試合で残した代打での打率は6割3分3厘。つなぐ意識で安打を積み重ねた。新チームがスタートした昨秋から、「長所を伸ばそう」と打撃練習に力を入れてきた。

 マシン打撃ではわざと詰まるところや外角に球が来るよう打席に立ったり、変化球を意識した状態で直球を打つなど、どんな球にも対応できるようにした。常に夏の最後の打者という意識で打つことで、劣勢の場面でも緊張せずに打席に立つことが出来ている。

 先輩からは積極的な姿勢を学んだ。1学年上のOB鶴岡から「初球から打っていけ」と教わった。「今までは配球を考えすぎていたが、積極的に打っていくようになった」と初球からガンガン振っていく意識がある。

 昨夏は保護者から贈られた必勝鉢巻きを付け、応援団長としてスタンドから声を上げた。準決勝で慶応に負けた際には、学年主任の青木先生から「来年はグラウンドで活躍しろ」と言われて今夏の活躍を誓った。背番号「20」を誇りに「夏は打率10割で、出たら打ちたい」。最後の夏に暴れると意気込んでの大会だった。

 15日の初戦・上溝南戦では同点の8回2死一、三塁で代打で立った。勝ち越しの適時右前打で流れを引き寄せ、7-4勝利の立役者となった。2戦目がこの日だった。「右方向に打って、チームの流れを変えたかったのですが、変えられなかったのが、悔しいです」。2打席ともに出塁は果たしたが、あまりにも短い夏だった。