日本ウェルネスが5回戦で姿を消し、ソフトバンク工藤監督の次男、拓也外野手(3年)の高校野球生活が終わった。

 背番号「19」は最後まで「らしさ」を見せた。終戦を迎えるとエースの西川に声をかけた。「ありがとう、と言いました。西川は泣いてたから、聞こえていないかもしれないですが。西川は才能があるし、いつも明るかった」。桐蔭学園(神奈川)から転校してきた自分に、みんな優しくしてくれた。高校生活最後の夏で、初めて外野手兼一塁コーチャーとしてベンチ入りできた。感謝の気持ちがあふれ、拓也の顔には笑顔だけが残った。

 幼いころから父に言われてきたのは「自分らしく、できることをやれ」だった。だから、野球を強要されたことは1度もない。「野球はやっぱり楽しい。卒業したら大学で野球を続けたいです。そしたら、また投手に戻りたい。大学の場所は福岡かもしれないし、分かりません。でも、父とは暮らしません(笑い)」。5人兄弟の末っ子は、また大人になった。ケガにも泣かされてきたが、やっぱり野球が大好きだ。