「青森山田のキン肉マン」がパワーを証明した。青森山田・中沢樹希也外野手(2年)が2打席連続の本塁打を放ち、彦根東(滋賀)に快勝。12日の神戸国際大付(兵庫)谷口嘉紀外野手(2年)から、3日連続で2打席連続本塁打が生まれた。

 甲子園ファンの視線を2度も独占した。青森山田の7番中沢が5回に2打席連続のアーチをかけると、ガッツポーズをすることなく悠然とダイヤモンドを1周した。帰ってきたベンチでは兜森崇朗監督(38)にヘルメットをポコポコたたかれ、手荒く祝福された。

 中沢 2打席連発は公式戦初です。1本目は変化球を引きつけて打てた。2本目は芯を外したと思ったけど、入ってびっくりした。強くバットをぶつけるのを意識した。

 4回は初球の91キロ変化球を待って左翼席に2ランをたたき込んだ。5回は3球目の内寄り真ん中の126キロ直球を強振して、バックスクリーン手前の左側に突き刺した。49代表最後の出場で初戦突破を果たし、9年ぶりの夏1勝に導いた。

 「筋肉博士」だ。勝利のお立ち台に立った中沢の胸板はパンパンに張っていた。決して大きくはない170センチ、79キロの体には驚異的なパワーが秘められていた。中1で友達にジムに連れて行かれて以来「筋トレが趣味なんです」。独学で勉強し、今は週4日で自分を追い込む。弟子入りを志願してくるチームメートからは「マニアック過ぎてよく分からない」と敬遠されるほど勉強してきた。

 練習中に口にするミネラルやビタミンのサプリメントを始め、1日8回も取るプロテインで肉体強化に成功。現在はベンチプレスは105キロ、スクワットは145キロ、デッドリフトは200キロを誇る。寮の部屋には最大40キロのダンベルが置いてあり、鏡の前でポーズが日課だ。夢はメジャーリーガーと大きく構えるが「なれなかったらボディービルダーになります」と笑い飛ばす。お立ち台であらためて連発の感想を問われると「筋肉も喜んでいると思います」。飛距離の源の声を代弁した。【高橋洋平】