福岡県屈指の公立進学校、東筑が私学の強豪、神村学園(鹿児島)を下し98年以来3度目となる来春のセンバツ出場に大きく前進した。エース石田旭昇投手(2年)が6安打完封&2打点と投打に活躍した。就任約2カ月の元プロ、三浦正行監督(66)率いる延岡学園(宮崎)をはじめ、創成館(長崎)富島(宮崎)が4強入りし来春のセンバツ出場に近づいた。

 東筑「石田伝説」の続きはセンバツで-。今夏、同校6度目甲子園の出場でうち4人が石田姓という「石田伝説」を継承中のエース石田が、事実上、夏春連続甲子園出場がかかる準々決勝で先発9回6安打完封。「あと2つ勝ち九州王者として神宮に出たい」と声を弾ませた。

 逆境を乗り越えた。7回、先頭打者の手嶋琳太郎内野手(1年)が一ゴロでベースを駆け抜ける際、送球が顔面を直撃し鼻血を出して途中交代するアクシデント。青野浩彦監督(57)が「よく勝ちました。本当にすごい」とナインの結束力に驚いた。石田自身、2回戦の興南戦で右足首に打球を受けた。テーピングと痛み止めを飲んで臨んだこの日も、7回に強烈な打球が右すねを直撃。試合後、患部は腫れていたが仲間を信じ投げ続けた。

 恐怖の9番打者でもあった。「相手がホッとしたところで打つ。9番に置くから期待できる」と青野監督。3回1死二塁。外角スライダーを中前適時打し先制。5回には2死二塁から中越え三塁打を放ち追加点を奪った。

 対戦校が石田対策としてバットを短く持ちコンパクトなセンター返しを取り入れる中、この日は「緩いチェンジアップで崩し、フライを上げさせようとして、はまった」。進学校ならではのクレバーな投球術もさえた。公立校で快進撃を続ける富島(宮崎)との「公立対決」も負けるわけにはいかない。【菊川光一】