3時間8分の激戦。タイブレーク寸前となる延長12回の戦いを終え、整列する両軍ナイン-。敵味方なく誰よりハグと握手を求められたのが、勝った土浦湖北の身長152・3センチ、彦坂健斗右翼手(3年)だった。180センチ超の選手の間に入ると、同世代というよりさながら“親子”のようでもある。

 巨漢たちの輪の中から出て来た彦坂は、晴れ晴れとしていた。「話したこともない相手から、『次の明秀戦も頑張れよ』と言われました。うれしいです」と瞳をキラキラさせながら言った。

 「ミニサイズ」と侮るなかれ! 武器は、50メートル5秒8の快足だ。「自分の持ち味は足。それを発揮すればレギュラーを取れると思って練習しています。小さいからこそ、できることもある」。外野の守備でもこれまで美技を連発してきた。そこが評価されて、大会前に「7番右翼」の定位置をつかんだ。この日は無安打ながら、4回1死満塁では中犠飛を放った。帽子のひさし裏には「瞬足チビ」の文字。快足、俊足に負けない「瞬足」で、次は明秀学園日立をかき回す。【玉置肇】