第100回全国高校野球選手権記念大会の甲子園見学が7月31日、スタートした。例年より出場校が多いため、今年はバットと球が使用できない見学となったが、最初に登場した聖光学院(福島)は与えられた15分間で華麗な“エアノック”を披露。最後は校歌熱唱で締めくくった。八戸学院光星(青森)は優勝を想定してマウンド上でNO・1ポーズを繰り出し、各校のカラーが出た。

 苦肉の策で始めた“エアノック”が、次第に熱を帯びていった。聖光学院・斎藤智也監督(55)が力を込めて両手でつくったグリップを振り抜くと、選手たちは監督の“バット”の角度で打球方向を判断。捕球体勢を取って次々と“送球”していく。球こそないが、本番さながらのプレーを意識してイメージを膨らませた。

 斎藤監督 入りがよくなかったけど、だんだんとノってきた。こっちも下手なりにノック打ったんで。「監督さん! 後ろでボール渡して待ってます!」ってノってきた選手もいて、面白かったね(笑い)。あそこまでやらないと駄目。

 “エアノック”の次は“エアスイング”で打撃の感覚を確かめた。主将の矢吹栄希内野手(3年)は左打席から、右中間にあるコカ・コーラの看板に直撃させるイメージでフルスイング。「去年は3年生に引っ張ってもらっていた。今年は自分が引っ張っていく責任がある」。今春のセンバツは東海大相模(神奈川)との2回戦で3-12と大敗。自身3度目の甲子園となるだけに、今大会に懸ける思いは人一倍強い。

 割り当てられた15分の最後は横山博英部長(48)の提案で黙想後、校歌熱唱で締めた。1回戦スタートで順当に勝ち上がれば決勝まで6試合をこなすことになる。斎藤監督は「あと6回校歌歌えたら最高だね」と上機嫌。続けて「例年より力は一回り上。持ってる力を発揮できるか」と自信を見せた。今年は史上最強との呼び声高い打撃陣に加え、タイプの違う3人を擁する投手陣も盤石。第100回の夏の「白河越え」は、地元福島県勢の聖光学院が狙う。【高橋洋平】