大阪桐蔭(北大阪)が史上初となる2度目の春夏連覇へ大きな1歩を踏み出した。春夏連覇達成校で16年夏優勝の作新学院(栃木)に3-1で競り勝った。走攻守で引っ張ったのは今秋ドラフト1位候補の藤原恭大外野手と根尾昂内野手(ともに3年)。藤原は適時打と快足で、根尾は2安打と美技で甲子園を沸かせ、あらためてプロのスカウトをうならせた。

 藤原が輝くバットで振り抜いた。1-0で迎えた8回2死二塁。右翼へ点差を2点に広げる適時打を放つ。右翼手が後逸するとスピードを緩めず、一気に生還した。「エラーした瞬間、4つ狙おうと思って走りました」と迷いはなかった。

 無安打で迎えた6回の第3打席。それまで黒いバットを握っていた藤原の手にゴールドのバットが輝いていた。地方大会でも使っていたバットから持ち替えると、捉えた4球目が中前に飛んだ。第4打席ではそのバットで貴重な追加点。「今までは1、2打席目が駄目だったらズルズルいってしまっていた。うまいこと修正できました」。本塁打を意識しすぎた前半から逆方向への意識に修正。2本の安打は藤原の成長を物語っていた。

 藤原と並んでドラフト1位候補の根尾は2回に先制につながる左翼線三塁打を放った。8回に藤原が打席に入る前には「2人であと1本ずつヒットを打とう」と声をかけた。この回、藤原の適時打に続き左中間へ二塁打。「4、5番で点を取ろうと思っていた」と宣言通りの活躍だった。7回の守備では中堅に抜けそうなゴロをつかみ、クルリと回転して一塁へ送球。守備範囲の広さ、身体バランスのよさを見せつけた。

 作新学院に勝ち、三塁側ベンチから引き揚げるナインの肩にはゴールド一色のバッグがあった。実は、春連覇を果たした今年のセンバツ直後に発注したもの。関係者によると、ゴールドに「何でも圧倒する」という意味を込め、「何が何でも2度目の春夏連覇に挑戦したい」とあえて重圧をかけてきたという。そして、勝負の夏の初戦。お披露目となったバッグとバット、さらにノックバットまでもが光っていた。

 史上初の偉業へ。「4番としてまだまだバッティングができていない。次までに修正して1戦1戦戦うだけ」と藤原。ゴールドメダルを手にするまで、油断も慢心も一切ない。【磯綾乃】