第91回選抜高校野球大会(23日開幕、甲子園)に2年ぶり3度目の出場となる札幌第一は10日、静岡1次合宿を打ち上げた。最終日は御前崎市内で、昨秋の静岡大会優勝の御殿場西とダブルヘッダーを行い、1試合目が4-2で勝利、2試合目が4-5で敗れた。1試合目先発の山田翔太(1年)は5回2失点(自責1)と粘投し、打撃でも今合宿初の4番に入り4打数1安打。合宿通じ19打数9安打と好調で、投打の軸に浮上してきた。

   ◇   ◇   ◇   

山田が新ミッションを、まっとうした。静岡合宿初日の静清戦(静岡)に途中登板して以来2度目のマウンド。19年初の先発登板は、3回に連打を浴び失点したが、自責はその1点のみ。5回1四球5奪三振に「しっかり試合をつくれたのは良かった。札幌に戻り、ボールに磨きをかけていきたい」と振り返った。

打撃でも今合宿初の4番に入り、1試合目4打数1安打、2試合目3打数1安打。全5試合で19打数9安打、打率4割7分4厘と、主力組トップの数値をたたき出した。主砲の村田凜捕手(2年)が15打数1安打と苦しんでおり、山田の存在は、春1勝に向けた大きなプラス材料だ。順調な仕上がりに「まだ満足にとらえきれていない打席もあった。甲子園ではコンスタントに結果を出せるように、打撃の方も詰めたい」と、さらなる進化を誓う。

昨秋は三塁兼投手として、右のエース野島丈、左腕畠山和明(ともに2年)をサポートしてきた。その左右の柱は、前日9日に野島が4回5安打9四球10失点、畠山が5回4四球4失点と、まだ不安定な状況が続いている。本番に向け、山田が投打の軸として浮上し、菊池雄人監督(46)は「山田はいいね。センバツまでの2週間で、いろいろ考えたい」と話した。

父貴弘さん(45)の実家が登別市にあり、盆と正月に家族で祖父母の家に遊びに行き、登別温泉につかるのが恒例行事。風呂が大好きで、静岡合宿中は宿舎の大浴場で毎晩、20~30分間、じっくり疲れを癒やし、結果を出した。「この合宿の成果を甲子園でのプレーに生かしたい」。この日、チームとともに札幌に戻り、18日に大阪入り予定。雪のない静岡でつかんだ心地よい感触を、聖地での熱投につなげる。【永野高輔】

○…高木和真左翼手(1年)が19年チーム1号を放った。御殿場西との1試合目、初回先頭で右中間二塁打を放つと、1点差に詰め寄られた8回に先頭で右中間ソロ。2長打で勝利に貢献した。昨秋全道大会は2番で出場し、4試合17打数3安打の打率1割7分6厘と不調。この日は1番で出場し「秋は2番という役割を意識してしまい思い切りが足りなかった。今日は、しっかり振れた。まだ波があるので、札幌に戻って修正したい」と話した。

○…右横手投げの近藤吏矩(りく)投手(1年)が、1試合目の7回2死二塁から登板し、2回1/3を無安打無失点で抑え、試合を締めた。昨秋全道大会初戦の札幌日大戦でも、7回1死満塁から登板してピンチをしのぎ、勝利に貢献。全道大会無失点の“火消し役”は、この日も走者を背負いながら好投し「勝負強さが武器。直球を中心に、ゼロで抑えられたのは良かった」と手応えを口にした。