富山第一のエース浜田陸(3年)が2日連続完投と奮起した。2回までに5点の援護をもらい、9回2失点で投げきった。黒田学監督(38)の口ぶりからは、夏に向けた大黒柱の連投テストの意味合いもあったようだ。3日の準決勝では星稜(石川)と対戦する。

浜田は粘り強かった。走者を出しても低めを丁寧に突いた。184センチ、87キロの大型左腕だが、速球派ではない。この日も130キロに満たない球も多かったが80キロ台のカーブやチェンジアップ、スライダーを要所でうまく制球した。連打は1失点した9回だけ。マウンドでは表情を変えず、エースらしく淡々と振る舞った。

「最少失点で抑えられたのはよかった。相手の打線は振りが強いけど、内角をしっかり突けばフライで打ち取れると思った」。力投型ではなく、自身初という2日連続の完投にも大きなダメージはなし。「昨日の疲れがない状態で臨めました」とほおを緩めた。

昨秋の県大会を制したが、北信越大会1回戦で啓新(福井)に敗れ甲子園の道を断たれた。この春も優勝を狙っていた。「富山は春の優勝チームがそのまま夏の甲子園に行くことが多いとプレッシャーをかけ続けた」と黒田監督は言う。

しかし、県の決勝で高岡第一に7点差をひっくり返され、準優勝。1週間前に行われた東海大相模(神奈川)との練習試合も8回に逆転されて敗れた。2つの逆転負けを、同監督は「本当の勝負の怖さは実体験で失敗しないと腹の底におちてこないので」と、あえて前向きにとらえる。

「投手が大事なところを投げきる、野手は投手を助けるという意識がようやく芽生えてきたかもしれない。ゲームの入りの集中力につながったと思う」。序盤の大量点と、エースの踏ん張りをたたえた。